「Excelの手作業を減らしたいのですが、何から手をつければよいでしょうか」というご相談をいただきます。
このとき候補として挙がるのは、たいていいちばん時間がかかっている作業です。 月末に半日つぶれるあの作業、決算のときに丸一日かかるあの転記。気持ちとしては自然です。
ただ、その順番で手をつけると、途中で止まることが多くなります。 長い作業ほど判断が混ざっていて、自動化しても確認の時間が残るからです。
結論
手をつける順を決めるのは、1回にかかる時間ではありません。次の掛け算です。
年間削減時間 = 年間回数 ×(1回の手作業時間 − 自動化しても残る確認時間)
そして、作る手間をこれで割ったものが回収期間です。裏返すと、こうも書けます。
1年で回収するのに必要な年間回数 = 作る手間 ÷ 1回あたりの削減時間
この2行だけで、手元の候補を並べ替えられます。 実際に4つの例で計算すると、1回15分しかかからない作業が最も早く回収しました。 1回15時間かかる作業は最も遅く、しかも1回3時間の作業とまったく同じ位置に並びました。
そして、順番を決める前に確かめることがあります。 Excelの手作業には、手でやるか自動でやるかによって、制度上の結論が変わる場面があります。 受け取った電子データを別の形に直して保存するとき、国税庁は自動変換なら認め、手で転記したものは認めていません。 効率の話だと思って後回しにしていると、保存義務のほうで引っかかります。
「時間のかかっている作業から」が外れる理由
自動化しても、作業がゼロになるわけではありません。実行して、出てきたものを確認する時間が残ります。 金額の合計が前月と大きく違わないか、件数が合っているか、例外的な行が混ざっていないか。
この残る確認時間は、作業に判断が混ざっているほど長くなります。 そして、1回に長い時間がかかる作業には、判断が混ざっていることが多くあります。 長いのは件数が多いからだとは限らず、途中で考えているから長いこともあるからです。
つまり、1回の作業時間が長いことは、削減できる時間が大きいことを意味しません。
4つの例で並べ替える
次の4つは、いずれも架空の例示です。実在の団体・法人の作業時間ではありません。 考え方を確かめるために置いた数字です。
| 記号 | 作業 | 年間回数 | 1回の手作業 | 残る確認 | 残る割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 月次の支払データを会計システムの取込様式に直す | 12回 | 180分 | 90分 | 50% |
| B | 毎営業日、入出金明細を管理表に写す | 240回 | 15分 | 2分 | 13% |
| C | 年に1回、決算資料を所定の様式に転記する | 1回 | 900分 | 180分 | 20% |
| D | 月次の会議資料のグラフと表を差し替える | 12回 | 60分 | 6分 | 10% |
この4つについて、年間削減時間と回収期間を計算しました。
| 記号 | 1回あたり削減 | 年間削減 | 作る手間 | 回収期間 |
|---|---|---|---|---|
| A | 90分 | 約18.0時間 | 約30.0時間 | 約20か月 |
| B | 13分 | 約52.0時間 | 約15.0時間 | 約3か月 |
| C | 720分 | 約12.0時間 | 約20.0時間 | 約20か月 |
| D | 54分 | 約10.8時間 | 約8.0時間 | 約9か月 |
並べ方が入れ替わります。
| 並べ方 | 順 |
|---|---|
| 1回あたりの手作業時間が長い順 | C → A → D → B |
| 回収期間が短い順 | B → D → A・C(AとCは同じ) |
1回15分のBが最初で、1回15時間のCが最後尾(Aと同着)です。 Cは1回あたり720分(12時間)も減るのに、年に1回しか回ってこないので、年間では12時間しか減りません。 Bは1回13分しか減りませんが、年240回あるので52時間減ります。
AとCの回収期間が同じ約20か月になっているのも、この計算の性格をよく表しています。 1回3時間の作業と、1回15時間の作業が、同じ位置に並びます。
残る確認時間を0分で見積もらない
年間回数も、1回の作業時間も、数えれば分かります。 数える前に決めてしまいがちなのが、自動化したあとに残る確認時間です。 作業A(年12回、1回180分、作る手間1,800分)で、残る確認だけを動かすとこうなります。
| 残る割合 | 残る確認 | 1回あたり削減 | 年間削減 | 回収期間 |
|---|---|---|---|---|
| 0% | 0分 | 180分 | 約36.0時間 | 約10か月 |
| 10% | 18分 | 162分 | 約32.4時間 | 約11か月 |
| 30% | 54分 | 126分 | 約25.2時間 | 約14か月 |
| 50% | 90分 | 90分 | 約18.0時間 | 約20か月 |
| 70% | 126分 | 54分 | 約10.8時間 | 約33か月 |
| 90% | 162分 | 18分 | 約3.6時間 | 約100か月 |
同じ作業です。変えたのは「自動化したあと、人がどれだけ確認するか」だけです。 それだけで回収期間が約10か月から約100か月まで動きます。
見積もりのときに残る確認を0分と置くと、いちばん上の行で判断することになります。 判断が混ざっている作業ほど、実際には下の行にいます。
1年で回収するのに必要な回数
並べ替えの前に、1件ずつ「そもそも回収するのか」を見ておくと早く済みます。
1年で回収するのに必要な年間回数 = 作る手間 ÷ 1回あたりの削減時間
4つの例に当てはめると、こうなります。
| 記号 | 作る手間 | 1回あたり削減 | 1年で回収するのに必要な回数 | 実際の年間回数 | 1年で回収するか |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 1,800分 | 90分 | 約20.0回 | 12回 | しない |
| B | 900分 | 13分 | 約69.2回 | 240回 | する |
| C | 1,200分 | 720分 | 約1.7回 | 1回 | しない |
| D | 480分 | 54分 | 約8.9回 | 12回 | する |
Cは、1回で720分も減るのに、必要な回数(約1.7回)に届いていません。 年1回の作業は、1回の削減が作る手間を上回らない限り、1年では回収しません。
同じ作業でも、回数だけで結論が変わる
中身がまったく同じ作業(1回30分、残る確認3分、作る手間600分。これも架空の例示です)について、 年間回数だけを変えるとこうなります。
| 年間回数 | 年間削減 | 回収期間 |
|---|---|---|
| 1回 | 約0.5時間 | 約22.2年 |
| 4回 | 約1.8時間 | 約5.6年 |
| 12回 | 約5.4時間 | 約22か月 |
| 52回 | 約23.4時間 | 約5か月 |
| 240回 | 約108.0時間 | 約1か月 |
同じ作業が、年1回なら約22.2年、毎営業日なら約1か月です。 「どの作業か」より先に「何回あるか」を見てください。
入力の届き方を先に見る
ここまでは、作れば減る前提で計算してきました。実際には、作っても減らない作業があります。 そうなる原因として多いのが、入力が機械で読める形で届いていないことです。
- 紙で届く。PDFで届くが、中身が画像である
- Excelで届くが、セルが結合されている。1行1件になっていない。1つのセルに複数の情報が入っている
- 毎回、列の並びや項目名が違う
この状態で転記だけを自動化すると、読み取りの正しさを人が確認することになり、 残る確認時間が大きくなります。先ほどの表でいえば、下の行に落ちます。
したがって、手をつける順としては、変換の作り込みより先に、届き方そのものを変えられないかを見てください。 庁内の他課から来るもの、系列の法人から来るもの、毎月同じ取引先から来るものは、 様式を決め直せる余地があります。これは開発ではなく、依頼のしかたの問題です。
外から来るもので変えようがない場合は、今度はどの形なら読めるかを確かめてください。 たとえば国税庁は、電子取引データの保存に関して、Excelやワードで受け取ったデータを PDFに変換して保存することを認めています。
エクセルやワードのファイル形式で受領したデータをPDFファイルに変換して保存することや、パスワードが付与されているデータのパスワードを解除してから保存することは、その保存過程において取引内容が変更されるおそれのない合理的な方法により編集したものと考えられることから、問題ありません。
— 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問42
形式を変えること自体が否定されているわけではありません。 どこまでが認められるのかには線があり、それが次の話です。
手でやるか自動でやるかで、結論が変わる場面がある
ここからは制度の話です。自動化を「速くなるかどうか」の問題だと思っていると、見落とします。
電子取引データは、データのまま保存する
まず前提です。
所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
— 電子帳簿保存法7条
「電子取引」は、条文で次のように定義されています。
取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。
— 電子帳簿保存法2条5号
メールにPDFの請求書が添付されて届けば、それが電子取引です。 そして、印刷して保存するという方法は廃止されています。
令和3年度の税制改正により、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。以下同じです。)及び法人税に係る保存義務者については、令和4年1月1日以後行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録を書面やマイクロフィルム(以下「書面等」といいます。)に出力して保存する措置が廃止されましたので、その電磁的記録を一定の要件の下、保存しなければならないこととされました。
— 同 問29
「Excelに打ち込むな」という話ではありません
ここを取り違えないでください。受け取ったデータを要件どおり保存しているなら、 そのうえでExcelに打ち込んで集計しようと、印刷して綴じようと、差し支えありません。
電子取引の取引情報に係る電磁的記録を削除せず、電子帳簿保存法の保存要件に沿って保存した上で、当該電磁的記録を書面に出力し、その他の書類と一緒に整理することは、問題ありません。
— 同 問31
問題になるのは、編集したものを、保存すべきデータそのものとして扱う場合だけです。
編集したものを保存に使うなら、自動でなければならない
国税庁は、EDI取引について次のように整理しています。
例えば、EDI取引においてデータをXML形式でやり取りしている場合であって、当該XML形式のデータを一覧表としてエクセル形式に変換して保存するときは、その過程において取引内容が変更されていない限りは、合理的な方法により編集したものと考えられるため、当該エクセル形式のデータによる保存も認められます(取扱通達7-1参照)。
なお、授受したデータを手動により転記して別形式のデータを作成する場合は、取引内容の変更可能性があることから、当該別形式のデータは合理的に編集したものに当たらないものと考えられます。
— 同 問40
コード変換についても同じです。
内容を一切変更することなくコードの表記のみを変更することは、合理的な編集に該当するため認められます。ただし、変換テーブルを使用し、コード変換が自動的に行われること(手動は不可)と、当該変換テーブルを併せて保存をしておくことが必要です。
— 同 問41
理由も書かれています。
ただし、目視による手入力等が介在すると意図せず内容が変更されてしまうおそれがあることから、これは認められず、また、相手から受領したデータに係るコードについて確認できる必要があることから、変換プロトコルについても併せて保存しておく必要があります。
— 同 問41
同じ「Excelの形に直す」でも、手でやれば保存に使えず、自動でやれば使えます。 手作業を減らすかどうかが、速さの問題ではなく、保存義務を満たすかどうかの問題になっています。
ただし、これはEDI取引についての問答です。受け取ったデータをそのまま要件どおり保存しているなら、 そこから先にExcelへ手入力することは、ここでは否定されていません。 問われているのは「編集後のデータを、保存すべきデータとして使えるか」だけです。 この場面の「手動は不可」を、Excelへの手入力全般の話に広げないでください。
検索要件は、Excelの一覧表で満たせる
保存の要件のひとつに検索機能の確保があります。専用のソフトがなくても構いません。
電子取引の取引情報に係る電磁的記録(電子取引の取引データ)を保存するシステムがない場合に検索機能の確保の要件を満たす方法としては、例えば、エクセル等の表計算ソフトにより、取引データに係る取引年月日その他の日付、取引金額、取引先の情報を入力して一覧表を作成することにより、当該エクセル等の機能により、入力された項目間で範囲指定、二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件設定をすることが可能な状態であれば、検索機能の確保の要件を満たすものと考えられます。
— 同 問50
国税庁は、この一覧表(索引簿)のサンプルをExcelファイルで配っています。 開くと、列は5つしかありません。連番・日付・金額・取引先・備考です。 記入例は「①/20210131/110000/㈱霞商店/請求書」のように、日付が8桁の数値で入っています。
ファイル名のほうに規則を持たせる方法も示されています。
2021 年(令和3年)1月31 日付の株式会社霞商店からの110,000 円の請求書データの場合 ⇒ 「20210131_㈱霞商店_110000」
※ 取引年月日その他の日付は和暦でも西暦でも構いませんが、混在は抽出機能の妨げとなることから、どちらかに統一して入力していただく必要があります。
— 同 問50
検索機能の確保が要件として課されているなら、この索引簿づくりは、この記事の基準に当てはめて 最初の1本として最も条件がそろっています。 毎回同じ手順で、判断が入らず、件数の分だけ回数があり、入力元(ファイル名とメール)は機械で読めます。 残るひとつ(そもそもその作業が要るか)は、次の節で確かめてください。 逆に言えば、ここを手で打ち続けているのは、いちばんもったいない場所です。
そもそも要件が課されていないことがある
自動化を考える前に、確かめてください。検索機能の確保は、外れる場合があります。
※ 判定期間に係る基準期間(通常は2年前です。)の売上高が5,000 万円以下であり、上記のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合又は電磁的記録を出力した書面を取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものを提示・提出できるようにしておき、上記のダウンロードの求めに応じるようにしている場合には、上記1の設定等による検索機能の確保が不要となります。
— 同 問19
ここでいう売上高は、消費税の課税売上高とは違います。
なお、規則第4条第1項は「売上高」と規定していることから営業外収入や雑収入を含んでおらず、結果として、消費税法上の「課税売上高」とはその内容を異にしていますので、ご注意ください。
— 同 問51
なお、基準期間における売上高は、消費税法上の基準期間における課税売上高と異なり、同法における非課税売上額が含まれますので、消費税の免税事業者や簡易課税制度を適用している者であっても、非課税売上額を含めると5,000万円を超える場合は、規則第4条第1項柱書における「判定期間に係る基準期間の売上高が5,000万円以下の場合」には該当しませんのでご注意ください。
— 同 問51
作らなくて済むのがいちばん安い自動化です。索引簿を作り込む前に、自分がこの免除に当たるかどうかを 確かめてください。なお、令和5年12月31日までに行った電子取引については、この基準額は1,000万円でした。 ただし当時は、免除されるのは「ダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合に限り」であって、 上に引いた2つ目の枝(書面を整理して提示・提出できるようにしておく方法)はありませんでした(同 問19の注)。 変わったのは金額だけではありません。
書面に出力して整理する方法を選ぶ場合は、整理のしかたが決まっています。
⑴ 課税期間ごとに、取引年月日その他の日付の順にまとめた上で、取引先ごとに整理する方法
⑵ 課税期間ごとに、取引先ごとにまとめた上で、取引年月日その他の日付の順に整理する方法
⑶ 書類の種類ごとに、⑴又は⑵と同様の方法により整理する方法
— 同 問52
こちらは手作業が残ります。印刷して並べる作業を毎日続けるのと、索引簿を自動で作るのと、 どちらが安いかは、この記事の掛け算で比べられます。
要件どおりに保存できなかった場合の扱い
令和6年1月1日以後に行う電子取引については、猶予措置があります。 所轄税務署長が相当の理由があると認め、かつ、データと出力書面の提示・提出に応じられるようにしている場合は、 要件によらずデータを保存できます(施行規則4条3項)。
ただし、書面での保存に代えることは認められません。
その電子データの保存に代えてその電子データを出力することにより作成した書面による保存をすることは認められませんのでご注意ください
— 同 問29
自治体と学校法人では、かかり方が違う
ここまでの電子帳簿保存法の話は、すべての読者にかかるわけではありません。
条文が名指ししているのは「所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者」です。 地方公共団体は公共法人として法人税を納める義務がなく(法人税法4条2項)、 源泉徴収に係る所得税はこの条文から明文で除かれています。 自治体の会計そのものは、この条文が対象にしている範囲の外にあります。
学校法人は公益法人等(法人税法別表第二)なので、法人税の納税義務は同法4条1項ただし書が挙げる場合に 限られます。ただし書が挙げているのは収益事業だけではありません。法人課税信託の引受けを行う場合、 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である場合、同グループ等に係る共同支配会社等である場合、 退職年金業務等を行う場合の5つが並んでいます。このうち学校法人で実際に問題になるのは収益事業ですが、 それは条文が収益事業だけを挙げているからではなく、残り4つが事実上生じないからです。 収益事業の判定については学校法人の収益事業と法人税にまとめました。
消費税については、扱いが分かれます。
一方、電子インボイス等、消費税法令において保存することとされている電子データの保存については、その保存の有無が税額計算に影響を及ぼすことなどを勘案して、令和4年1月1日以後も引き続き、その電磁的記録を書面に出力することにより保存することも認められています
— 同 問29
公営企業の消費税の実務でいえば、電子データを紙に出して保存する運用が、いまも認められています。 自治体の担当課の方は、「電子帳簿保存法の対応」として一律に言われているものが、 自分の団体にかかっているのかどうかを先に確かめてください。かかっていなければ、その作業は要りません。
外部のツールに通すときは、別の確認が要る
Excelの中身を外部のサービスやAIツールに通して処理する場合は、速さの話とは別に、 個人データの扱いを確認する必要があります。 確認する場所はAIツールの選び方に3つの分岐としてまとめました。 秘密保持義務・営業秘密の側は業務で生成AIに情報を入れてよいか、 自治体の場合は順序そのものが違うので自治体で生成AIに入れてよい情報はどこまでかをご覧ください。
最初の1本の選び方
ここまでをまとめると、最初に手をつける作業は、次の4つを満たすものです。 表は「問い」と「向いている側」を並べています。
| 確かめること | 最初の1本に向いている | 向いていない |
|---|---|---|
| そもそもその作業は要るか | 要件として課されている、または毎回使われている | 要件が外れている。誰も見ていない |
| 入力はどう届くか | CSV・Excel・システムから出力できる | 紙、画像のPDF、毎回様式が違う |
| 手順は毎回同じか | 同じ。例外は決まった数だけ | 毎回考える。前例を探しに行く |
| 年に何回あるか | 毎月以上 | 年1回か2回 |
4つ目を最後に置いているのは、上の3つを満たさない作業は、回数が多くても回収しないからです。
そのうえで、候補が複数あるなら、先ほどの割り算で並べてください。
1年で回収するのに必要な年間回数 = 作る手間 ÷ 1回あたりの削減時間
これが実際の年間回数を下回っているものから着手すれば、外れません。
まとめ
- 手をつける順は、1回にかかる時間では決まりません。 年間回数 ×(手作業時間 − 残る確認時間)で決まります
- 1回に長い時間がかかる作業には、判断が混ざっていることが多くあります。 自動化しても確認は残ります。残る確認を0分で見積もると、回収期間を実際より短く見ることになります。例示では、残る割合が0%なら約10か月、50%なら約20か月でした
- 年1回の作業は、1回の削減が作る手間を上回らない限り、1年では回収しません。 同じ作業でも、年1回なら約22.2年、毎営業日なら約1か月です
- 作っても減らない作業は、入力の届き方が原因であることが多くあります。 変換を作り込む前に、様式を変えられないかを見てください
- 電子取引データについては、手か自動かで制度上の結論が変わります。 編集したデータを保存に使うなら、手で転記したものは認められません(一問一答 問40・問41)。ただしこれはEDI取引の問答であり、受け取ったデータをそのまま保存しているなら、Excelへの手入力が否定されるわけではありません
- 検索要件は、Excelの一覧表(索引簿)で満たせます。 国税庁が配っているサンプルは連番・日付・金額・取引先・備考の5列です。検索機能の確保が課されているなら、この索引簿づくりは、この記事の4つの基準を全部満たします
- その前に、要件が課されているかを確かめてください。 ダウンロードの求めに応じられるようにしたうえで、基準期間の売上高が5,000万円以下なら、検索機能の確保は不要です。この売上高は消費税の課税売上高とは範囲が違います
- 自治体の会計は、電子帳簿保存法7条が対象にしている範囲の外にあります。 学校法人は、法人税法4条1項ただし書が挙げる5つの場合に限られ、実務上はほぼ収益事業です。消費税法令上の電子データは、いまも書面に出力して保存することが認められています