学校法人会計

学校法人の収益事業と法人税 — 2つの「収益事業」は別の判定です

「うちは収益事業をやっていないので、法人税は関係ありません」

学校法人の事務局でよく聞く言い方です。半分は正しく、半分は危険です。

危険なのは、この文の「収益事業」がどちらの意味で使われているかが、言った本人にも聞いた側にも定まっていないことです。学校法人には「収益事業」という言葉が2つあり、別々の法律が、別々の基準で、別々の目的のために使っています。

結論

  • 私立学校法の収益事業は、寄附行為に書いて所轄庁の認可を受け、学校法人会計から区分して特別の会計として経理するものです(私立学校法19条、23条1項13号)
  • 法人税法の収益事業は、政令に列挙された34業種で、継続して事業場を設けて行われるものです(法人税法2条13号、同法施行令5条1項)
  • 2つは基準が違うので、一致しません。 寄附行為に書いていない事業に法人税がかかることがあり、逆に、寄附行為に書いてある事業に法人税がかからないこともあります
  • 学校法人だから外れるものがあります。医療保健業、大学の受託研究の一部、主たる目的とする業務に関連する席貸しです
  • 学校で行うから外れるものもあります。技芸・学力の教授の除外は、学校法人を名指ししていません。学校・専修学校・各種学校で行われ、かつ財務省令の要件を満たすものが外れます。このほかに、文部科学大臣の認定を受けた通信教育(ハ)や理容師・美容師の養成施設(ニ)のように、別の切り口の除外も置かれています
  • そもそも対象かどうかを先に見てください。 法人税法上の「技芸」は洋裁から小型船舶の操縦までの限定列挙で、学力の教授も入試対策と学校教育の補習に限られます。簿記や語学や資格試験の対策講座は、この号に入っていません
  • 外れないものもあります。駐車場業と不動産貸付業には、学校法人を除く定めが置かれていません
  • 税率は、収益事業の所得のうち**年800万円以下の部分が15%、超える部分が19%**です
  • 学校会計へ繰り入れた分はみなし寄附金として損金になりますが、限度額は所得の50%と年200万円のいずれか多い方です
  • 法人住民税は、所得の90%以上を学校の経営に充てていれば均等割も法人税割もかかりません。事業税にはこの90%の定めがありません

私立学校法の「収益事業」— 条番号が動いています

まず、条番号の確認からです。改正私立学校法(令和7年4月1日施行)で、収益事業の規定は第26条から第19条へ移りました。

学校法人は、その設置する私立学校の教育に支障のない限り、その収益を私立学校の経営に充てるため、収益を目的とする事業を行うことができる。 2 前項の事業の種類は、私立学校審議会又は学校教育法第九十五条に規定する審議会等(以下「私立学校審議会等」という。)の意見を聴いて、所轄庁が定める。所轄庁は、その事業の種類を公告しなければならない。 3 第一項の事業に関する会計は、当該学校法人の設置する私立学校の経営に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。(私立学校法19条)

改正法の新旧対照表では、新第19条と旧第26条がどちらも「(略)」とされています。19条については、中身は変えずに位置だけが移ったということです。

ただし、同じ改正で動いた条文が全部そうだとは限りません。 停止命令の規定は旧第61条から新第134条へ移りましたが、こちらは中身も変わっています。新旧対照表では、新第134条2項「所轄庁は、前項の規定による停止命令をするときは、あらかじめ、私立学校審議会等の意見を聴かなければならない。」が**「(新設)」**とされ、準用の範囲も旧第61条2項の「前条第二項から第八項まで」から新第134条3項の「前条第三項から第九項まで」へ変わっています。柱書の「次の各号の一に該当する」も「次の各号のいずれかに該当する」に改められました(新第134条は「第十九条第一項の規定により」と引いています)。

条番号だけの話に見えますが、実務では効きます。「私立学校法26条」と書かれた資料は、改正前に出たものがまだ大量に残っています。 たとえば文部科学省が令和3年10月1日の通知に付けた相談票(別添2)には「収益事業の場合は、私立学校法第26 条に基づき」とあります。当時の条番号なので、その資料の記載が誤りだということではありません。 参照するときに、いまは何条かを確かめてください。

関連する条文は次のとおりです。

  • 寄附行為の記載事項:「収益を目的とする事業を行う場合には、その事業の種類その他その事業に関する事項」(同法23条1項13号)
  • 理事会の権限:収益を目的とする事業に関する重要事項は理事に委任できず(同法36条3項8号)、決定に当たってはあらかじめ評議員会の意見を聴かなければなりません(同条4項)
  • 大臣所轄学校法人等では、さらに評議員会の決議が要ります。 寄附行為の変更のうち「軽微な変更として文部科学省令で定めるもの」以外は評議員会の決議がなければ効力を生じません(同法150条)。その軽微な変更を定めるのが私立学校法施行規則54条で、1号が挙げているのは23条1項の4号・6号(理事会の決議に係る事項を除く)・9号(評議員会の決議に係る事項を除く)・11号・12号・16号、2号が同規則46条1項1号の事項、3号が「23条1項各号に掲げる事項以外の事項」です。収益事業の13号は、この3つのどれにも入りません。 種類を増やすときは、意見聴取では足りません
  • 会計:収益事業会計は「一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に従つて」処理し、計算書類及びその附属明細書に代えて貸借対照表及び損益計算書を作成します(学校法人会計基準1条2項ただし書・3条)

種類は18業種です(大臣所轄法人の場合)

私立学校法19条2項の「所轄庁が定める」種類は、文部科学大臣所轄の学校法人については告示で定められています(平成20年文部科学省告示第141号。直近の改正は令和6年告示第53号)。この告示は現行版で「私立学校法第十九条第一項の規定により」と引いており、条番号の移動を反映済みです。

告示2条は、日本標準産業分類に定めるもののうちから18業種を挙げています。農業・林業/漁業/鉱業、採石業、砂利採取業/建設業/製造業(武器製造業を除く)/電気・ガス・熱供給・水道業/情報通信業/運輸業、郵便業/卸売業、小売業/保険業(保険媒介代理業と保険サービス業に限る)/不動産業(建物売買業、土地売買業を除く)、物品賃貸業/学術研究、専門・技術サービス業/宿泊業、飲食サービス業(料亭、酒場・ビヤホール、バー・キャバレー・ナイトクラブを除く)/生活関連サービス業、娯楽業(遊戯場を除く)/教育、学習支援業/医療、福祉/複合サービス事業/サービス業(他に分類されないもの)です。

そのうえで告示1条が、次のいずれにも該当しないことを求めています。「経営が投機的に行われるもの」「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条各項(第2項,第3項及び第12項を除く。)に規定する営業及びこれらに類似する方法によって経営されるもの」「規模が当該学校法人の設置する学校の状態に照らして不適当なもの」「自己の名義をもって他人に行わせるもの」「当該学校法人の設置する学校の教育に支障のあるもの」「その他学校法人としてふさわしくない方法によって経営されるもの」の6つです。

告示1条は括弧書きで「当該学校法人の設置する学校の教育の一部として又はこれに付随して行われる事業を除く」としています。 ここで付随事業が私立学校法上の収益事業から切り出されます。学校法人の事業は、本来事業・付随事業・収益事業の3つに分かれる、という整理はここから来ています。

大臣所轄法人は、始める前に事前相談が要ります

告示の範囲に入っていることを自分で確かめて始める、という手順ではありません。文部科学省は、令和3年10月1日の通知で次のように求めています。

文部科学大臣所轄学校法人が付随事業(次のいずれかに該当する事業(保育事業を除く)。①在学者又は教職員及び役員以外の者に物品やサービスの提供を行い対価を得る事業、②学校の所在地と離れた場所に施設を設け行う事業、③事業を行うに際して、行政機関の許認可を必要とする事業)及び収益事業を行う場合は、文部科学省へ事前相談を行うこと。(3高私行第9号 記1(1))

医療及び社会福祉事業(保育事業を除く)を新たに実施する場合は、これによらず全ての場合に事前相談が求められます(同記1(2))。文部科学省のページは、事前相談に「相談票の提出から確認完了まで、概ね2か月程度」、寄附行為の変更認可が必要になればさらに「2か月以上」かかることがあるとしています。思い立ってから始められる話ではありません。

事前相談が要らないものもあります。児童福祉法の乳児等通園支援事業については、文部科学省が令和8年2月26日の通知(7高私行第30号)で、付随事業の規模の範囲内で実施される場合は付随事業として扱い、「乳児等通園支援事業の実施決定にあたって、文部科学省に対する事前相談を要しないものとする」としました。同通知は、寄附行為への記載や会計における部門を設けた表示も要しないとしたうえで、「付随事業の規模の範囲を超える場合、又は当該事業を行う文部科学大臣所轄学校法人が幼稚園又は認定こども園を設置しておらず、かつ、保育事業(0歳~6歳児を対象とする認可保育所又は認可外保育施設)を実施していない場合」には、その要否をあらかじめ文部科学省に相談するものとしています。乳児等のための支援給付は令和8年4月から全ての市町村で実施されています。幼稚園を設置する法人は、この事業だけ手続が違うことを押さえてください。

令和3年の通知は、請負についても位置づけを決めています。

請負事業は、収益事業として実施すること。また、その事業については、寄附行為に記載し文部科学省の認可を得る必要があること。(同記3(2))

ここは取り違えやすいところです。 私立学校法の側では、請負で行う事業は付随事業ではなく収益事業として整理されます。一方、法人税法の側では、大学に対する委託研究のうち一定のものが収益事業から外れます(後述)。同じ受託研究が、私立学校法では収益事業、法人税法では収益事業でない、ということが起こります。2つの「収益事業」が別物だというのは、こういう意味です。

「付随事業なら非課税」と読まないでください

文部科学省が公表している別添1「学校法人における付随事業・収益事業の概要」には、付随事業と収益事業を比べる表があります。その「法人税率」の欄は、次のようになっています(表の欄を1行に直しました。表記は原文のままです)。

法人税率 付随事業:非課税 収益事業:19% (年800万円以下の部分は15%)

同じ表の「事業の規模」の欄には、付随事業が「学校法人全体の事業活動収入の30/130未満」、収益事業が「学校法人全体の事業活動収入未満」と示されています。規模の目安として使える、ありがたい資料です。

ただし、この表は私立学校法の区分ごとの整理です。法人税の課税範囲を決めているのは法人税法であって、私立学校法の区分ではありません。付随事業に区分したから法人税がかからない、という法令上の仕組みはありません。

国税庁の通達は、はっきり逆のことを書いています。

公益法人等(人格のない社団等を含む。以下15-1-8を除き、この節において同じ。)が令第5条第1項各号《収益事業の範囲》に掲げる事業のいずれかに該当する事業を行う場合には、たとえその行う事業が当該公益法人等の本来の目的たる事業であるときであっても、当該事業から生ずる所得については法人税が課されることに留意する。(法人税基本通達15-1-1)

在学者を相手にしている事業でも同じです。

学校法人等が行うノート、筆記具等の文房具、布地、糸、編糸、食料品等の材料又はミシン、編物機械、ちゅう房用品等の用具の販売は、たとえこれらの物品が学校の指定に基づいて授業において用いられるものである場合であっても、物品販売業に該当する。(同15-1-10(3))

「本来事業か」「在学者向けか」「寄附行為に書いてあるか」は、いずれも法人税の判定基準ではありません。 判定基準は、次に見る34業種です。

法人税法の「収益事業」— 34業種と2つの条件

学校法人は法人税法別表第二に掲げられた公益法人等です(表には「学校法人(私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第百五十二条第五項(私立専修学校等)の規定により設立された法人を含む。)」とあります)。公益法人等の納税義務は、次のように限定されています。

内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合……に限る。(法人税法4条1項)

その「収益事業」の定義がこれです。

収益事業 販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。(同法2条13号)

政令が法人税法施行令5条1項で、34の号に事業を列挙しています。物品販売業/不動産販売業/金銭貸付業/物品貸付業/不動産貸付業/製造業/通信業/運送業/倉庫業/請負業/印刷業/出版業/写真業/席貸業/旅館業/料理店業その他の飲食店業/周旋業/代理業/仲立業/問屋業/鉱業/土石採取業/浴場業/理容業/美容業/興行業/遊技所業/遊覧所業/医療保健業/技芸教授業等/駐車場業/信用保証業/無体財産権の提供等を行う事業/労働者派遣業の34です。柱書は「次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)」としています。

条件は2つあります。

条件原文通達の読み方
事業場を設けて「事業場を設けて行われるもの」常時の店舗・事務所のほか、必要に応じて随時場所を設け、又は既存の施設を利用して行うものも含む(15-1-4)
継続して「継続して……行われるもの」全期間を通じて継続するもののほか、相当期間にわたって継続するもの、定期的に又は不定期に反復して行われるものを含む(15-1-5(2))

「既存の施設を利用して」「不定期に反復して」まで含みます。 年に何度か体育館を貸す、というだけでも条件は満たしうる、ということです。

学校法人だから外れるもの、外れないもの

34業種のうち、条文に学校法人を名指しで除く定めが置かれているものと、置かれていないものがあります。次の表は、その有無を号ごとに整理したものです。

事業(号)施行令5条1項に学校法人を除く定めがあるか内容と根拠
医療保健業(29号)ある「私立学校法第三条に規定する学校法人が行う医療保健業」はハで除かれる。通達15-1-57は、この号に掲げる公益法人等(チからル及びカを除く)は「その行う医療保健業の全てが収益事業とならない」とする。ただし通達15-1-58の注は、患者を対象とするものでも日用品の販売・クリーニングの取次ぎ・公衆電話サービス業務等は収益事業に該当するとしており、院内の売店は医療保健業の外である
請負業(10号)ある(限定付き)ニで、学校法人がその設置している大学に対する他の者の委託を受けて行う研究に係るもの。ただし「その委託に係る契約又は協定において、当該研究の成果の全部若しくは一部が当該学校法人に帰属する旨又は当該研究の成果について学術研究の発展に資するため適切に公表される旨が定められているものに限る」
席貸業(14号)ある(一部だけ)ロ(3)で、学校法人がその主たる目的とする業務に関連して行う席貸業。ただしイ(不特定又は多数の者の娯楽、遊興又は慰安の用に供するための席貸業)には、この除外がかからない
技芸教授業等(30号)ない(別の切り口の除外がある)除外は技芸の教授がイ・ハ・ニ・ホ、学力の教授がロ・ハ。イ・ロが除いているのは「学校教育法1条の学校・124条の専修学校・134条1項の各種学校において行われる」技芸の教授、学力の教授のうち「財務省令で定めるもの」で、主語は学校法人ではなく、行われる場所である。ハ(文部科学大臣の認定を受けた通信教育)・ニ(理容師・美容師の養成施設。財務省令は施行規則8条)・ホ(国家資格付与事務)は別の切り口。公開模擬学力試験には除外規定が置かれていない
物品販売業(1号)ない通達15-1-10が学校法人等の扱いを個別に定める。教科書等の教材以外の出版物、文房具・材料・用具、制服・制帽は物品販売業に該当する。年1、2回程度のバザーは該当しない(ただし同(5)は括弧書きで「15-1-6の(2)に該当するものを除く」としており、技芸教授業を行う法人がその一環として開くバザーは、回数にかかわらず付随行為として収益事業に入る
不動産貸付業(5号)ない除外はイからリまでにあるが、学校法人を名指ししたものはない(国等に対し直接貸し付けられるもの、一定の低廉な住宅用地などは別に除かれる)
駐車場業(31号)ない号の本文が「駐車場業」の一語のみで、除外規定が置かれていない。通達15-1-68は「駐車場所としての土地の貸付けが含まれる」とする
料理店業その他の飲食店業(16号)ない号の本文が業種名のみで、除外規定が置かれていない

表の右の2列を、1行ずつつなげて読んでください。 「施行令5条1項に学校法人を除く定めがあるか」に「ない」と書いてある行は、学校法人であることを理由に外れることはない、という意味です。該当するかどうかは、事業の実態を各号の定義に当てはめて判定することになります。

技芸教授業等(30号)の行だけ、「ない」の意味が違います。除外そのものは置かれているのですが、その中心(イ・ロ)が除いているのは「学校法人が行うもの」ではなく「学校・専修学校・各種学校において行われるもの」です。 学校法人であっても、学校の外に設けた教室で行う講座には、この除外は届きません。逆に、学校法人以外の者が設置した各種学校で行われるものには届きます。

席貸業の構造だけ、補足します。14号は他の号と作りが逆で、「席貸業のうち次に掲げるもの」と書かれています。掲げられているのはイとロで、イが「不特定又は多数の者の娯楽、遊興又は慰安の用に供するための席貸業」、ロが「イに掲げる席貸業以外の席貸業(次に掲げるものを除く。)」です。学校法人の除外は、**ロの中の(3)**にあります。

つまり、イに当たる席貸しは、学校法人が主たる目的とする業務に関連して行っていても外れません。 通達15-1-38は、イには「興行……を目的として集会場、野球場、テニスコート、体育館等を利用する者に対してその貸付けを行う事業(不動産貸付業に該当するものを除く。)が含まれる」とし、注で「展覧会等のための席貸しは、同号イの娯楽、遊興又は慰安の用に供するための席貸しに該当する」としています。体育館や講堂の貸出しは、貸す相手と目的で結論が変わります。

技芸・学力の教授 — 順番を間違えないでください

この号は2段構えです。 先に見るのは要件ではなく、そもそも30号の対象になる教授かどうかです。ここを飛ばすと、課税されない講座を課税だと判定してしまいます。

1段目:30号の「技芸」は限定列挙です

30号は「技芸」を、次の22のものと定義しています。

洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レタリングを含む。)、自動車操縦若しくは小型船舶(……)の操縦(以下この号において「技芸」という。)の教授(**通信教育による技芸の教授及び技芸に関する免許の付与その他これに類する行為を含む。**以下この号において同じ。)(法人税法施行令5条1項30号)

括弧書きを落とさないでください。通信教育で行うものも、免許・段位・級・師範などを与える行為だけを行う場合も、「技芸の教授」に含まれます(通達15-1-66とその注1)。

一方で、この列挙の外にある科目の教授は、30号に当たりません。 号が「以下この号において「技芸」という。」と書いて定義を閉じているからです。通達15-1-66も、免許の付与等について「同号に規定する技芸以外の技芸に関する免許の付与等はこれに該当しない」として、同じ読み方をしています。簿記、語学、プログラミング、経営学の講座は、この列挙に入っていません。

学力の教授のほうも同じで、30号が拾っているのは「学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため若しくは学校教育の補習のための学力の教授」だけです。資格試験の対策講座は、どちらでもありません。

ただし、列挙にある技芸にぶら下がるものは引き込まれます。通達15-1-66の注2は「同号に規定する技芸の教授若しくは免許の付与等の一環として、又はこれらに付随して行われる講習会等は、たとえ一般教養の講習をその内容とするものであっても、同号の「技芸の教授」に該当する」としています。

なお、30号に当たらないことは、法人税がかからないことと同じではありません。 会場を貸せば席貸業、教科書等の教材以外の出版物や文房具を売れば物品販売業(通達15-1-10(2)(3))というように、他の号に当たる余地は残ります。

2段目:当たる場合に、外れるための要件

30号が置いている除外は、技芸の教授についてイ・ハ・ニ・ホ、学力の教授についてロ・ハです(号は「技芸の教授……のうちイ及びハからホまでに掲げるもの以外のもの又は……学力の教授……のうちロ及びハに掲げるもの以外のもの」と書いています)。除外は1つではありません。 ここではまずイを見て、ロを次項、ハからホまでをその次で扱います。

イは「学校教育法1条の学校、124条の専修学校又は134条1項の各種学校において行われる技芸の教授で財務省令で定めるもの」で、その省令が法人税法施行規則7条です。次の各号に掲げる事項の「全てに該当する」技芸の教授とされています。

#要件
1修業期間が1年以上であること
21年間の授業時間数が680時間以上であること(専修学校の課程は、高等課程・一般課程の昼間学科800時間以上、夜間等学科450時間以上かつ修業期間を通じ800時間以上、通信制の学科17単位以上、専門課程の昼間学科31単位以上、夜間等学科・通信制の学科17単位以上、専攻科31単位以上と課程ごとに定められている)
3その施設(教員数を含む)が同時に授業を受ける生徒数に比し十分であると認められること
4その教授が年2回を超えない一定の時期に開始され、かつ、その終期が明確に定められていること
5生徒について学年又は学期ごとに成績の評価が行われ、その結果が成績考査に関する表簿その他の書類に登載されていること
6生徒について所定の技術を修得したかどうかの成績の評価が行われ、その評価に基づいて卒業証書又は修了証書が授与されていること

イに乗せるには、6つ全部です。 数回で完結する公開講座や社会人向けの短期講座は、1・2・4・6のあたりでまず外れます。「学校がやっているから教育だ」は通りません。

なお、授業時間数を数えるときは、通達15-1-67の2が「正味の授業時間のほか、授業と授業の間における通常の休憩時間(昼食のための休息時間を除く。)が含まれる」としています。

学力の教授には、6要件を満たさなくても外れる道があります

ここは技芸の教授と作りが違います。 法人税法施行規則7条の2は、財務省令で定めるものを「前条各号に掲げる事項のすべてに該当する学力の教授及び次の各号に掲げる事項のいずれかに該当する学力の教授」としています。「及び」でつないだ2本立てです。後者は、その教授自体が7条の6要件に該当することを求めていません。

ルート要件
7条各号上の6つ全部に該当する学力の教授
7条の2第1号大学の入学者を選抜するための学力試験に直接備えるための学力の教授で、6要件を満たす学力の教授を行っている学校・専修学校・各種学校(=「学校等」)で行われるもののうち、その教科又は課程の授業時間数が30時間以上のもの
7条の2第2号1号のほか、学校等で行われる学力の教授で、①その教科又は課程の授業時間数が60時間以上、②施設(教員数を含む)が同時に授業を受ける生徒数に比し十分、③年3回を超えない一定の時期に開始され終期が明確、のすべてに該当するもの

修業期間1年以上も、成績の表簿への登載も、卒業証書の授与も、2号のルートには出てきません。補習講座を「1年未満だから課税だ」と決めつけないでください。 ただし2号の「学校等」は、6要件を満たす学力の教授を行っている学校を指しています(1号の括弧書きの定義が2号にも効きます)。そこを満たさない法人が別に開く講座には、このルートは開きません。

1号の「直接備えるため」にも範囲があります。通達15-1-67の3は、これを「高等学校を卒業した者及び高等学校の第3学年(定時制の高等学校にあっては第4学年)に在籍する者を主たる対象者として行う大学の入学試験に備えるための学力の教授」としています。高校1・2年生を主たる対象とする講座は、30時間の1号ではなく60時間ほかの2号で見ることになります。

通達15-1-67の2(2)は、7条の2各号の時間数を「受講者の募集区分の異なるごと(一の科目ごとに選択して受講させ、当該科目ごとに定められた受講料を収受することとしている場合には、その科目ごととする。)の授業時間数による」としています。講座全体ではなく、募集の単位で数えます。

なお30号は、技芸の教授と学力の教授のほかに「公開模擬学力試験(学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため広く一般に参加者を募集し当該学力試験にその内容及び方法を擬して行われる試験をいう。)を行う事業」を並べています。この部分にはイからホまでの除外がかかっていません。 通達15-1-67は、公開模擬学力試験には「その公開模擬学力試験を行う予備校等の生徒がその選択により受験料を負担してこれに参加する場合のその参加に係る部分が含まれる」としています。

イ・ロで落ちても、まだハ・ニ・ホがあります

イ・ロだけを見て「課税だ」と決めないでください。 30号の除外は、技芸の教授についてイのほかにハ・ニ・ホ、学力の教授についてロのほかにハが置かれています。ハからホまでは、イ・ロの「学校等において行われる……で財務省令で定めるもの(=施行規則7条・7条の2)」とは別の切り口です。

  • :「社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第五十一条(通信教育の認定)の規定により文部科学大臣の認定を受けた通信教育として行う技芸の教授又は学力の教授」。技芸と学力の両方に効き、施行規則7条・7条の2の要件を問いません。 ただし、この認定が与えられるのは「学校又は一般社団法人若しくは一般財団法人の行う通信教育で社会教育上奨励すべきもの」です(社会教育法51条1項)。学校法人の場合、認定を受けるのはその設置する学校が行う通信教育ということになります
  • :「理容師法(昭和二十二年法律第二百三十四号)第三条第三項(理容師試験)又は美容師法(昭和三十二年法律第百六十三号)第四条第三項(美容師試験)の規定により都道府県知事の指定を受けた施設において養成として行う技芸の教授で財務省令で定めるもの並びに当該施設に設けられた通信課程に係る通信及び添削による指導を専ら行う法人の当該指導として行う技芸の教授」。この財務省令は施行規則7条ではなく施行規則8条で、修業期間は昼間課程・夜間課程が2年(修得者課程は1年)以上、通信課程が3年(修得者課程は1年6月)以上と、養成施設指定規則に合わせた別の基準になっています
  • :法令において国家資格付与事務を行う者として定められ、又は法令に基づき指定された法人が、法令に基づき当該国家資格付与事務として行う技芸の教授(「国の行政機関の長又は地方公共団体の長が当該国家資格付与事務に関し監督上必要な命令をすることができるものに限る」)で、①対価の額を法令で実費を勘案して定めることとされているか対価が必要な費用の額を超えないと見込まれること、②その事務を行う者が公益法人等又は一般社団法人・一般財団法人に限られていることが法令で定められていること、のいずれかに該当するもの

理容・美容の専門学校を持つ法人は、イ(施行規則7条)で判定しないでください。 都道府県知事の指定を受けた養成施設として行う分は、ニと施行規則8条が受け持ちます。

区分経理 — 内部の家賃は費用にできません

収益事業に当たるものがあれば、経理を分けます。

公益法人等及び人格のない社団等は、収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければならない。(法人税法施行令6条)

実務で問題になるのは、次の3つです。

1つめ。分けるのは損益だけではありません。 通達15-2-1は「『所得に関する経理』とは、単に収益及び費用に関する経理だけでなく、資産及び負債に関する経理を含む」としています。ただし注で、一の資産が両方に共用されている場合(事業ごとに専用部分が明らかな場合を除く)は、資産としては区分経理をせず、「その償却費その他当該資産について生ずる費用の額のうち収益事業に係る部分の金額を当該収益事業に係る費用として経理する」としています。

2つめ。共通費用は配賦しますが、基準を毎年変えられません。

(1) 収益事業について直接要した費用の額又は収益事業について直接生じた損失の額は、収益事業に係る費用又は損失の額として経理する。 (2) 収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用又は損失の額は、継続的に、資産の使用割合、従業員の従事割合、資産の帳簿価額の比、収入金額の比その他当該費用又は損失の性質に応ずる合理的な基準により収益事業と収益事業以外の事業とに配賦し、これに基づいて経理する。(通達15-2-5)

3つめ。ここが最も間違えられます。

(注) 公益法人等又は人格のない社団等が収益事業以外の事業に属する金銭その他の資産を収益事業のために使用した場合においても、これにつき収益事業から収益事業以外の事業へ賃借料、支払利子等を支払うこととしてその額を収益事業に係る費用又は損失として経理することはできないことに留意する。(同15-2-5の注)

学校の建物の一部を収益事業に使っているからといって、学校会計へ家賃を払う形にして収益事業の費用にすることはできません。 できるのは、その建物の減価償却費などを合理的な基準で配賦することです。

補助金の扱いも決まっています。通達15-2-12は、固定資産の取得又は改良に充てるために交付を受ける補助金等は「たとえ当該固定資産が収益事業の用に供されるものである場合であっても、収益事業に係る益金の額に算入しない」、収益事業に係る収入又は経費を補填するために交付を受けるものは「収益事業に係る益金の額に算入する」としています。何に充てる補助金かで分かれます。

税額はどう出るか

学校法人の場合、税率は次のとおりです。

課税所得の区分税率根拠
年800万円以下の部分15%租税特別措置法42条の3の2第1項の表第三号
年800万円を超える部分19%法人税法66条3項

措置法の軽減税率には期限があります。適用されるのは「平成二十四年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度」、つまり令和9年3月31日までに開始する事業年度です。また、所得の金額が年10億円を超える事業年度については、年800万円以下の部分の税率が17%になります(令和7年4月1日以後に開始する事業年度から)。国税庁タックスアンサーNo.5759の表でも「上記以外の公益法人等」の行が同じ内容になっています。

みなし寄附金

収益事業で得たものを学校会計へ繰り入れた場合、その分は寄附金とみなされます。

公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額……は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。ただし、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額については、この限りでない。(法人税法37条6項)

損金算入の限度額は、学校法人の場合こうなります。

私立学校法第三条(定義)に規定する学校法人(同法第百五十二条第五項(私立専修学校等)の規定により設立された法人で学校教育法第百二十四条(専修学校)に規定する専修学校を設置しているものを含む。)…… 当該事業年度の所得の金額の百分の五十に相当する金額(当該金額が年二百万円に満たない場合には、年二百万円)(法人税法施行令73条1項3号ロ)

括弧書きに注意してください。 準学校法人(私立学校法152条5項の法人)のうちこの号に含まれるのは、専修学校を設置しているものだけです。各種学校だけを設置している法人はここに入らず、同項3号ハの「イ又はロに掲げる法人以外の公益法人等」として、限度額は**所得の金額の20%**になります。

なお、通達15-2-4は、繰り入れた一方で同額の元入れがあったものとして経理するなど「実質的に収益事業から収益事業以外の事業への金銭等の支出がなかったと認められるとき」は、みなし寄附金の規定の適用がないとしています。帳簿上だけ動かしても効きません。

設例

架空の設例です。 12か月の事業年度、繰越欠損金なし、所得は10億円以下、税額控除なしとします。金額は四捨五入し、単位は万円です。

項目金額
収益事業の所得(繰入前)600万円
学校会計への繰入額400万円
みなし寄附金の損金算入限度額300万円
損金算入されるみなし寄附金300万円
課税所得300万円
法人税額約45万円

限度額は、所得600万円の50%=300万円と年200万円のいずれか多い方で、300万円です。繰入額400万円のうち損金になるのは300万円までで、残り100万円は損金になりません。課税所得は600万円−300万円=300万円、法人税額は300万円×15%=約45万円です。繰入を行わなければ600万円×15%=約90万円なので、差は約45万円になります。

限度額の計算の基礎になる「所得の金額」は、寄附金の額の全額を損金に算入しないものとして計算した金額です(法人税法施行令73条3項)。繰入後の所得ではありません。

年200万円の下限がどこまで効くかも確かめておきます。 所得の50%が200万円になるのは所得400万円のときなので、所得が400万円未満なら年200万円の下限が、400万円を超えると所得の50%が限度額になります。 たとえば所得300万円で400万円を繰り入れた場合、限度額は150万円ではなく200万円、課税所得は100万円、法人税額は約15万円です。所得が小さい法人ほど、下限が効きます。

上の表の「法人税額」で終わりではありません

法人税を納める義務がある法人は、地方法人税も納めます(地方法人税法4条)。税額は、法人税額(所得税額控除・外国税額控除の前)を課税標準として**10.3%**です(同法6条1項1号、9条、10条1項)。申告期限も各課税事業年度終了の日の翌日から2月以内で、法人税と同じです(同法19条1項)。

上の設例では、法人税額45万円に対して地方法人税は約5万円になり、国税だけで合わせて約50万円です。この後に、次に見る法人住民税と事業税が乗ります。

法人住民税と事業税は、範囲が違います

地方税にも「収益事業」が出てきますが、範囲が法人税と同じではありません。

法人住民税は、学校法人に対して均等割も法人税割も課することができないのが原則で、収益事業を行う場合が例外とされています(地方税法25条1項ただし書・2項ただし書、296条1項ただし書・2項ただし書)。その収益事業の範囲を定めているのが地方税法施行令7条の4です。

……法人税法施行令(昭和四十年政令第九十七号)第五条に規定する事業で、継続して事業場を設けて行われるものとする。ただし、当該事業のうち社会福祉法人、更生保護法人、学校法人又は私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第百五十二条第五項の法人が行う事業でその所得の金額の百分の九十以上の金額を当該法人が行う社会福祉事業、更生保護事業、私立学校、私立専修学校又は私立各種学校の経営(法人税法施行令第五条に規定する事業を除く。)に充てているもの(その所得の金額がなく当該経営に充てていないものを含む。)を含まないものとする。(地方税法施行令7条の4)

市町村民税にも、同令47条でこの規定が準用されます。つまり、法人税の申告は必要でも、所得の90%以上を学校の経営に充てていれば、法人住民税の均等割も法人税割もかからないという構造です。

括弧書きも読んでください。充てる先の「経営」からは「法人税法施行令第五条に規定する事業を除く」とされています。収益事業に再投下したのでは、この90%には算入されません。

一方、事業税の収益事業の範囲を定める同令15条は、「法人税法施行令第五条に規定する事業で、継続して事業場を設けて行われるものとする」で終わっていて、90%のただし書がありません。 住民税と事業税で結論が分かれます。

なお、90%を判定するときの「所得の金額」の具体的な計算方法は、条文に定めが置かれていません。この点は都道府県税事務所と市町村の課税課に確認してください。 所轄庁(文部科学省・都道府県の私学担当課)は法人住民税の所管ではありません。

手続と期限

手続期限根拠
収益事業開始の届出開始した日以後2月以内(開始時の収益事業に係る貸借対照表その他の書類を添付)法人税法150条1項
確定申告各事業年度終了の日の翌日から2月以内同法74条1項
棚卸資産の評価方法の選定の届出新たに収益事業を開始した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限まで法人税法施行令29条2項2号(国税庁 C1-25)
地方法人税の確定申告各課税事業年度終了の日の翌日から2月以内地方法人税法19条1項

確定申告書の添付書類には注意が必要です。

公益法人等又は人格のない社団等が法第74条第3項《確定申告》の規定により確定申告書に添付する貸借対照表、損益計算書等の書類……には、当該公益法人等又は人格のない社団等が行う収益事業以外の事業に係るこれらの書類が含まれることに留意する。(通達15-2-14)

収益事業だけの決算書を出せばよい、ということではありません。 学校法人全体の計算書類も添付します。

まとめ

  • 学校法人の「収益事業」は2つあります。 私立学校法19条のものと、法人税法2条13号・同法施行令5条のものです
  • 私立学校法の収益事業の規定は、第26条から第19条へ移りました。新旧対照表では新第19条と旧第26条がどちらも「(略)」で、中身は変わっていません。ただし停止命令(第61条→第134条)は中身も変わっており、私立学校審議会等の意見聴取を求める2項が新設されています。「条番号が動いただけ」で片付けないでください
  • 大臣所轄法人の場合、種類は告示で18業種、これに6つの除外基準がかかります。付随事業は告示1条の括弧書きで切り出されています。始める前に文部科学省への事前相談が要り、請負で行う事業は収益事業として整理されます
  • 文部科学省の比較表の「付随事業:非課税」は私立学校法の区分ごとの整理です。法人税の判定は、法人税法施行令5条1項の34業種への当てはめで行います。通達15-1-1は本来の目的たる事業でも課税されるとし、15-1-10(3)は学校の指定に基づいて授業で用いられる文房具等の販売も物品販売業としています
  • 医療保健業は全部外れますが、院内の売店やクリーニングの取次ぎは医療保健業の外です。大学の受託研究は、契約に成果の帰属又は公表の定めがあるものに限って外れます
  • 席貸業は、娯楽・遊興・慰安の用に供するものだけ除外がかかりません。 学校法人の除外はロ(3)にあり、イには及びません
  • 技芸・学力の教授は、まず30号の対象かどうかから見ます。 「技芸」は洋裁から小型船舶の操縦までの22の限定列挙、学力の教授は入試対策と学校教育の補習に限られます。対象に当たる技芸の教授は、学校等で行われるもの(イ)については施行規則7条の6要件を全部満たすものが外れます。学力の教授には、同規則7条の2で6要件によらずに外れる道があります。 公開模擬学力試験には除外がありません
  • 除外はイ・ロだけではありません。 文部科学大臣の認定を受けた通信教育(ハ)、都道府県知事の指定を受けた理容師・美容師の養成施設で行うもの(ニ・施行規則8条)、国家資格付与事務として行うもの(ホ)が別に置かれています。イ・ロの6要件で落ちても、まだここが残っています
  • 技芸・学力の教授の除外のうちイ・ロは、学校法人を名指ししていません。 学校・専修学校・各種学校で行われることが条件で、学校の外に設けた教室の講座には届きません
  • 駐車場業・不動産貸付業・飲食店業には、学校法人を除く定めが置かれていません
  • 共通費用は合理的な基準で継続的に配賦します。学校会計へ家賃や利子を払う形にして収益事業の費用にすることはできません
  • 税率は年800万円以下15%・超える部分19%、みなし寄附金の限度額は所得の50%と年200万円のいずれか多い方。所得400万円が下限の効く境目です。法人税額にはさらに地方法人税10.3%が乗ります
  • 法人住民税は所得の90%以上を学校の経営に充てていれば課されません。事業税にはこの定めがありません

収益事業に当たるかどうかの判定は、事業の名前ではなく契約の相手・場所・回数・対価の決め方で決まります。既に何年も続けている事業ほど、当時の整理のまま来ていることが多いところです。学校法人会計の監査と法人税の申告の両方を扱っている立場から、御法人が実際に行っている事業に即して、34業種への当てはめと区分経理の組み方をご一緒に確認します。

よくある質問

寄附行為に収益事業を書いていなければ、法人税の申告は要らないのですか。

要らないとは限りません。法人税を納める義務があるかどうかを決めているのは法人税法で、その範囲は法人税法施行令5条1項に並んだ34業種です。私立学校法19条1項の収益事業(寄附行為に記載して所轄庁の認可を受けるもの)とは別の基準で判定します。法人税基本通達15-1-1は「たとえその行う事業が当該公益法人等の本来の目的たる事業であるときであっても、当該事業から生ずる所得については法人税が課されることに留意する」としています。寄附行為に書いてあるかどうかは、法人税の判定の材料になりません。

大学病院には法人税がかかりますか。

かかりません。法人税法施行令5条1項29号は医療保健業のうち「私立学校法第三条に規定する学校法人が行う医療保健業」を収益事業から除いています。法人税基本通達15-1-57は、この号に掲げる公益法人等(チからル及びカに掲げるものを除く)について「その行う医療保健業の全てが収益事業とならないことに留意する」としています。学校法人はハに当たるので、行う医療保健業は全部が対象外です。ただし通達15-1-58の注は、患者を対象とするものであっても日用品の販売やクリーニングの取次ぎなどは収益事業に該当するとしています。

公開講座や社会人向けの講座はどう扱いますか。

順番があります。先に見るのは、その講座が法人税法施行令5条1項30号の対象かどうかです。30号の「技芸」は洋裁から小型船舶の操縦までの22のものに限られ、学力の教授も「学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため」か「学校教育の補習のため」のものだけです。簿記や語学や資格試験の対策講座は、どちらにも入りません。対象に当たる場合の除外は、技芸の教授がイ・ハ・ニ・ホ、学力の教授がロ・ハです。中心になるのはイ・ロで、学校・専修学校・各種学校で行われるもののうち「財務省令で定めるもの」が外れます。技芸の教授の財務省令が法人税法施行規則7条で、修業期間1年以上、1年間の授業時間数680時間以上、施設が生徒数に比して十分、開始時期が年2回を超えず終期が明確、学期ごとの成績評価と表簿への登載、卒業証書または修了証書の授与という6つの全てに該当することを求めています。数回で完結する技芸の公開講座は、この6つを満たしません。学力の教授だけは別で、同規則7条の2が6要件を満たすもの「及び」授業時間数30時間以上(大学入試に直接備えるもの)または60時間以上などの要件を満たすものを定めており、6要件を満たさなくても外れる道があります。なお、社会教育法51条の規定により文部科学大臣の認定を受けた通信教育として行うもの(ハ)は、技芸・学力のどちらも、施行規則7条・7条の2の要件によらずに外れます。ただしこの認定は「学校又は一般社団法人若しくは一般財団法人の行う通信教育」に与えられるものです。

学校会計へ繰り入れれば法人税はかからなくなりますか。

ゼロにはなりません。法人税法37条6項は、収益事業に属する資産のうちから収益事業以外の事業のために支出した金額を収益事業に係る寄附金とみなします。その損金算入限度額は、学校法人の場合、法人税法施行令73条1項3号ロにより「当該事業年度の所得の金額の百分の五十に相当する金額(当該金額が年二百万円に満たない場合には、年二百万円)」です。繰入額のうち限度額を超える部分は損金になりません。

法人住民税や事業税も課されますか。

法人住民税には学校法人向けの定めがあります。地方税法施行令7条の4ただし書は、学校法人が行う事業で「その所得の金額の百分の九十以上の金額を当該法人が行う……私立学校、私立専修学校又は私立各種学校の経営(法人税法施行令第五条に規定する事業を除く。)に充てているもの」を、道府県民税の非課税の例外となる収益事業から除いています。市町村民税にも同令47条で準用されます。一方、事業税の収益事業の範囲を定める同令15条には、この90%の定めがありません。

出典

制度の内容は改正されることがあります。判断の際は必ず出典元の最新情報をご確認ください。

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