税務署から電話がかかってきた。何年分を、どこまで見られるのか。何を用意すればいいのか。
この不安の大部分は、調べる側の裁量が見えないことから来ています。しかし税務調査の手続は、平成23年12月の国税通則法改正で条文に書き込まれました。何を通知し、何を検査でき、どう終わらせるかは、ほとんど法令と国税庁の内部指針に書いてあります。
この記事では、その条文と指針をそのまま引きながら、調査で見られる範囲がどこで決まるのかを整理します。
結論
見られる範囲は、事前通知の内容で決まります。ただし、そこで閉じません。
| 知りたいこと | どこで決まるか |
|---|---|
| どの税目を見られるか | 事前通知の「調査の対象となる税目」(国税通則法第74条の9第1項第4号) |
| 何年分を見られるか | 事前通知の「調査の対象となる期間」(同項第5号)。通知できる期間そのものを縛る条文はないが、更正決定等をすることができる期間は原則として法定申告期限から5年、偽りその他不正の行為があれば7年(第70条第1項・第5項第1号)。法人税の純損失等の金額(繰越欠損金)を増減させる更正は10年(同条第2項) |
| 何を見せることになるか | 事前通知の「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」(同項第6号)。ただし検査の対象は条文上「その者の事業に関する帳簿書類その他の物件」(第74条の2第1項) |
| 通知された範囲で終わるか | 終わりません。通知した事項以外でも、非違が疑われれば質問検査等の対象になります(第74条の9第4項) |
そして、最初の電話がかかってきた時点で、もう一つ決まっていることがあります。自分で気づいて直したときに加算税がかかるかどうかです。次の節から順に見ていきます。
その連絡は「調査」なのか「行政指導」なのか
税務署からの連絡は、調査とは限りません。申告書に計算誤りや記載漏れがありそうな場合に、自発的な見直しを求める行政指導として行われることがあります。
事務運営指針は、この区別を最初に明示することとしています。
納税義務者等に対し調査又は行政指導に当たる行為を行う際は、対面、電話、書面等の態様を問わず、いずれの事務として行うかを明示した上で、それぞれの行為を法令等に基づき適正に行う。
区別は加算税に直結します。国税庁のFAQは、行政指導に基づいて自主的に修正申告書を提出した場合について、こう書いています。
このような行政指導に基づき、納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税は納付していただく場合がありますが、過少申告加算税は賦課されません(当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%賦課されます。)。
どちらの連絡なのかは、必ず確認してください。明示することになっている以上、聞けば答えが返ってきます。
「日程はいつが良いですか」の電話で、すでに通知は済んでいる
調査だった場合、話が変わります。
国税通則法第65条第6項は、更正を予知しないで出した修正申告について、調査通知より前であれば過少申告加算税を課さないとしています。
第一項の規定は、修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査に係る第七十四条の九第一項第四号及び第五号(納税義務者に対する調査の事前通知等)に掲げる事項その他政令で定める事項の通知(次条第六項第二号及び第八項において「調査通知」という。)がある前に行われたものであるときは、適用しない。
ここでいう調査通知は、事前通知の全部ではありません。第74条の9第1項第4号(税目)と第5号(期間)、そして政令で定める事項です。政令で定める事項は、国税通則法施行令第27条第4項が定めています。
法第六十五条第六項に規定する政令で定める事項は、法第七十四条の九第一項(納税義務者に対する調査の事前通知等)に規定する実地の調査において質問検査等(…)を行わせる旨(…)とする。
つまり調査通知は「実地の調査を行う旨」「税目」「期間」の3つで足ります。そして事務運営指針は、日程調整の段階でこれを行うこととしています。
なお、納税義務者に対して都合を聴取する際は、法第65条第6項に規定する調査通知を併せて行う。
「来月あたりに法人税と消費税の調査でお伺いしたいのですが、ご都合はいかがですか」という最初の電話で、調査通知は成立しています。慌てて修正申告を出しても、加算税はゼロにはなりません。
| 修正申告書を提出する時点 | 過少申告加算税 |
|---|---|
| 調査通知より前(更正を予知していない) | 課されない(第65条第6項) |
| 調査通知の後、更正を予知する前 | 5%。ただし期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は、5%が加算されて10%(第65条第1項の括弧書き・第2項) |
| 更正を予知した後 | 10%。ただし期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は、5%が加算されて15%(第65条第1項・第2項) |
気づいたときに直しておく価値は、電話が鳴る前にあります。
事前通知で伝えられること
事前通知の中身は法令で決まっています。国税通則法第74条の9第1項は、質問検査等を行わせる場合には「あらかじめ」「その旨及び次に掲げる事項」を通知するものとしています。
| 通知される事項 | 根拠 | |
|---|---|---|
| — | 実地の調査において質問検査等を行う旨 | 法第74条の9第1項本文 |
| 1 | 調査を開始する日時 | 同項第1号 |
| 2 | 調査を行う場所 | 同項第2号 |
| 3 | 調査の目的 | 同項第3号 |
| 4 | 調査の対象となる税目 | 同項第4号 |
| 5 | 調査の対象となる期間 | 同項第5号 |
| 6 | 調査の対象となる帳簿書類その他の物件 | 同項第6号 |
| 7 | 調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所又は居所 | 令第30条の4第1項第1号 |
| 8 | 調査を行う職員の氏名及び所属官署(複数なら代表者) | 同項第2号 |
| 9 | 調査開始日時・場所の変更に関する事項 | 同項第3号 |
| 10 | 法第74条の9第4項の規定の趣旨 | 同項第4号 |
10番に注目してください。通知した範囲の外にも調査が及びうること自体が、事前通知の項目に入っています。これは後で詳しく扱います。
また施行令第30条の4第2項は、帳簿書類について次のように定めています。
同項第六号に掲げる事項については、同号に掲げる物件が国税に関する法令の規定により備付け又は保存をしなければならないこととされているものである場合にはその旨を併せて通知するものとする。
法令上の保存義務があるものかどうかまで、通知の段階で伝えられます。
通知の形式について、誤解されやすいところ
| よくある思い込み | 実際 |
|---|---|
| 通知書が郵送されてくる | 原則は電話による口頭。電話による通知が困難と認められる場合に税務当局の判断で書面によることはあるが、要望に応じて書面が交付されることはない(FAQ問12) |
| 何日前に来るか決まっている | 法令に規定はなく、一律に示せない。相当の時間的余裕を置くこととされている(FAQ問13) |
| なぜ調査に来るのか説明される | 調査の「目的」は通知されるが、実地の調査を行う理由は通知事項ではなく、説明されない(FAQ問18) |
| 日程は動かせない | 合理的な理由があれば協議される(法第74条の9第2項)。申出の方法に定めはなく、口頭で差し支えない(FAQ問17) |
日程については、条文がこう書いています。
税務署長等は、前項の規定による通知を受けた納税義務者から合理的な理由を付して同項第一号又は第二号に掲げる事項について変更するよう求めがあつた場合には、当該事項について協議するよう努めるものとする。
変更できるのは第1号(日時)と第2号(場所)だけです。税目や期間を減らしてほしいという求めは、この条文の対象ではありません。
通知された範囲だけを見るわけではない
ここが、事前通知をめぐって最も誤解されるところです。第74条の9第4項を読んでください。
第一項の規定は、当該職員が、当該調査により当該調査に係る同項第三号から第六号までに掲げる事項以外の事項について非違が疑われることとなつた場合において、当該事項に関し質問検査等を行うことを妨げるものではない。この場合において、同項の規定は、当該事項に関する質問検査等については、適用しない。
第3号から第6号は、目的・税目・期間・帳簿書類です。この4つの外側にある事項でも、非違が疑われれば質問検査等を行える。しかも、その部分については事前通知の規定が適用されません。
実務での運びは事務運営指針が定めています。
納税義務者に対し調査対象に追加する税目、期間等を説明し理解と協力を得た上で、調査対象に追加する事項についての質問検査等を行う。
説明は受けられますが、理由は説明されません。国税庁のFAQは、対象が拡大することに納得できない場合について、こう書いています。
また、調査を行うこと自体は不服申立てを行うことのできる処分には当たりませんから、仮に事前通知事項以外の事項を調査することの必要性についてご納得いただけない場合でも、不服申立てを行うことはできません。
「通知された期間の外」にあたらない場合もある
もう一つ、混同しやすい話があります。通知された期間より前の帳簿を見せてほしいと言われても、それが対象の拡大とは限りません。FAQはこう説明しています。
例えば、X年度の減価償却費の計上額が正しいかどうかを確認するため、その資産の取得価額を確認するために取得年度の帳簿書類等を検査する必要があるといった場合のように、調査担当者がX年度の申告内容を確認するために必要があると判断したときには、X年度以外の帳簿書類等の提示等をお願いすることがあります。 これはあくまでもX年度の調査であって、X年度以外の調査を行っているわけではありません。
減価償却、繰越欠損金、圧縮記帳、長期の前払費用。当期の数字が過去から続いているものは、過去の帳簿を見なければ当期を確認できません。古い資料の提示を求められたら、まずどちらの話なのかを聞いてください。
事前通知が来ないことがある
第74条の10が定める例外です。
前条第一項の規定にかかわらず、税務署長等が調査の相手方である同条第三項第一号に掲げる納税義務者の申告若しくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等若しくは税関が保有する情報に鑑み、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、同条第一項の規定による通知を要しない。
この場合でも、臨場後の手当てが定められています。事務運営指針は、臨場後速やかに次を通知することとしています。
「調査を行う旨」、「調査の目的」、「調査の対象となる税目」、「調査の対象となる期間」、「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」、「調査対象者の氏名又は名称及び住所又は居所」、「調査担当者の氏名及び所属官署」
事前通知が無くても、臨場後速やかに範囲は示されます。ただし、なぜ事前通知をしなかったのかは説明されず、その点について不服申立てもできません(FAQ問21)。
何を見せることになるか
質問検査権の条文を読みます。国税通則法第74条の2第1項です。
所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(…)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。…)の提示若しくは提出を求めることができる。
押さえるべきは3つです。
- 検査の対象は「その者の事業に関する帳簿書類その他の物件」。名義や置き場所ではなく、事業との関連で決まります
- できるのは質問・検査・提示又は提出の求め。捜索ではありません
- 「その写しを含む」。原本でなければならないわけではありません
「事業に関する」の線引きについて、FAQが具体例を出しています。
この場合に、例えば、法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人預金について事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられます。
社長個人の名義であることは、範囲の外になる理由になりません。
電子データで持っている場合
紙で保存していない帳簿についても、扱いが決まっています。FAQは次のとおりです。
帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくこととなります。
提出は、プリントアウト、調査担当者が持参した記録媒体への保存、e-Tax・オンラインストレージ・メールのいずれかによることになります。印刷して束にして渡す以外の方法があります。
応じなかった場合
第128条第2号・第3号は、質問に答弁しない、偽りの答弁をする、検査を拒み妨げ忌避する、正当な理由なく提示・提出の求めに応じない、偽りの記載又は記録をした帳簿書類その他の物件を提示・提出するといった行為に、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金を定めています。
「正当な理由」について、FAQはこう書いています。
どのような場合が正当な理由に該当するかについては、個々の事案に即して具体的に判断する必要がありますし、最終的には裁判所が判断することとなりますから、確定的なことはお答えできませんが、例えば、提示・提出を求めた帳簿書類等が、災害等により滅失・毀損するなどして、直ちに提示・提出することが物理的に困難であるような場合などがこれに該当するものと考えられます。
挙がっている例はこれだけで、該当しないものが列挙されているわけではありません。
一方で、事務運営指針は、提示・提出を求めるときの姿勢をこう定めています。
質問検査等の相手方となる者の理解と協力の下、その承諾を得て行う。
罰則を背景に強制する運用ではない、というのが国税庁自身の説明です(FAQ問3)。
誰に対して行われるか
調査は本人だけを相手にするものではありません。第74条の2第1項第2号ロは、法人に対し「金銭の支払若しくは物品の譲渡をする義務があると認められる者又は金銭の支払若しくは物品の譲渡を受ける権利があると認められる者」を質問検査等の相手方に挙げています。取引先への反面調査です。
事務運営指針は、実施にあたり「反面調査である旨を取引先等に明示した上で実施する」こと、そして「その必要性と反面調査先への事前連絡の適否を十分検討する」ことを定めています。FAQは、反面調査に事前通知の法令上の規定はないものの、運用上は原則としてあらかじめ連絡することとしています。
なお、調査に立ち会えるのは原則として税務代理人(税理士等)です。記帳を手伝っている方については、FAQが「調査を円滑に進めるために、調査担当者が必要と認めた範囲で調査に同席いただくことはあります」としています。
帳簿を預けるとき
その場で見切れない量になると、預かりの話が出ます。第74条の7は「当該調査において提出された物件を留め置くことができる」とだけ定め、手続は施行令第30条の3が定めています。
当該物件の名称又は種類及びその数量、当該物件の提出年月日並びに当該物件を提出した者の氏名及び住所又は居所その他当該物件の留置きに関し必要な事項を記載した書面を作成し、当該物件を提出した者にこれを交付しなければならない。
この書面が預り証です。同条は、留め置く必要がなくなったときは「遅滞なく、これを返還しなければならない」こと、留め置いた物件を「善良な管理者の注意をもつて管理しなければならない」ことも定めています。
返還を求めたときの扱いは事務運営指針に書かれています。
引き続き留め置く必要があり、返還の求めに応じることができない場合には、その旨及び理由を説明するとともに、不服申立てに係る教示を行う必要がある
預けたものを返してもらえない状態は、不服申立ての対象になります。FAQは、その職員が税務署に所属する場合、税務署長への再調査の請求または国税不服審判所長への審査請求ができるとしています。
預ける前に、業務で毎日使う帳簿はどれかを整理して伝えてください。留置きは承諾を得て行うものとされており、強制ではありません。
帳簿を出さないと、加算税が上がる
平成23年の改正とは別に、令和4年度の改正で入った仕組みがあります。帳簿の提示・提出に応じなかった場合や、売上げの記載が不十分だった場合に、加算税が加重されます。
第65条第4項(過少申告加算税)・第66条第5項(無申告加算税)は、修正申告等の前に当該職員から帳簿の提示又は提出を求められ、次のいずれかに当たるときは加算するとしています。
一 当該職員に当該帳簿の提示若しくは提出をしなかつた場合又は当該職員にその提示若しくは提出がされた当該帳簿に記載し、若しくは記録すべき事項のうち、納税申告書の作成の基礎となる重要なものとして財務省令で定める事項(…「特定事項」…)の記載若しくは記録が著しく不十分である場合として財務省令で定める場合 二 当該職員にその提示又は提出がされた当該帳簿に記載し、又は記録すべき事項のうち、特定事項の記載又は記録が不十分である場合として財務省令で定める場合(前号に掲げる場合を除く。)
特定事項とは、売上げです。国税通則法施行規則第11条の2第2項は「法第六十五条第四項第一号に規定する財務省令で定める事項は、売上げ(業務に係る収入を含む。)とする」としています。「著しく不十分」と「不十分」の境目も同条が数字で定めています。
| 帳簿を求められたときの状態 | 加算される割合 |
|---|---|
| 提示・提出をしなかった | 10% |
| 提示・提出はしたが、売上げの記載が、本来記載すべき金額の2分の1に満たない | 10% |
| 提示・提出はしたが、売上げの記載が、本来記載すべき金額の3分の2に満たない(2分の1以上) | 5% |
対象になる帳簿は施行規則第11条の2第1項が列挙しており、所得税法施行規則・法人税法施行規則の仕訳帳及び総勘定元帳、青色申告者の簡易帳簿、消費税法上の仕入税額控除や売上対価の返還等に係る帳簿などです。会計ソフトから出せるものばかりです。
なお条文は「当該納税者の責めに帰すべき事由がない場合を除く」としており、加重が自動で決まるわけではありません。
適用の始まりは、令和4年法律第4号の附則第20条第2項に書かれています。
新国税通則法第六十五条第四項及び第六十六条第四項の規定は、令和六年一月一日以後に法定申告期限(…)が到来する国税について適用する。
引用は原文のままです。無申告加算税側は、現在の国税通則法では第66条第5項に置かれています(上で引いたとおりです)。法定申告期限が令和6年1月1日より前の期は、この加重の対象外です。3期分をまとめて見られる調査では、期によって扱いが分かれます。
調査の終わり方
終了手続は第74条の11が定めています。結果によって形が違います。
| 調査の結果 | 何が行われるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 更正決定等をすべきと認められない | その旨を書面により通知(実地の調査を行った場合に限る) | 第1項 |
| 更正決定等をすべきと認める | 調査結果の内容(金額及びその理由を含む)を説明 | 第2項 |
| 同上 | 修正申告又は期限後申告を勧奨できる | 第3項 |
第3項には、勧奨のときに必ず行われることが書かれています。
この場合において、当該調査の結果に関し当該納税義務者が納税申告書を提出した場合には不服申立てをすることはできないが更正の請求をすることはできる旨を説明するとともに、その旨を記載した書面を交付しなければならない。
修正申告を出すと、不服申立てはできなくなります。この説明と書面(教示文)の交付は、法律上の義務です。
説明の方法についても押さえておきます。第2項は説明の方法を定めておらず、事務運営指針は「原則として口頭により説明する」としています。FAQは、要望に応じて調査結果の内容を記載した書面を交付することはない、と明記しています。内容は、その場で自分で書き留めることになります。
勧奨に応じるかどうかは任意です。応じなければ更正等の処分になりますが、FAQは「修正申告の勧奨に応じなかったからといって、修正申告に応じた場合と比較して不利な取扱いを受けることは基本的にはありません」としています。違いは、不服申立てができる形で終わるかどうかです。
終わった後に、また来ることがある
最後に第74条の11第5項です。
第一項の通知をした後又は第二項の調査(実地の調査に限る。)の結果につき納税義務者から修正申告書若しくは期限後申告書の提出若しくは源泉徴収等による国税の納付があつた後若しくは更正決定等をした後においても、当該職員は、新たに得られた情報に照らし非違があると認めるときは、第七十四条の二から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)の規定に基づき、…質問検査等を行うことができる。
FAQが挙げている例は、実地の調査が終わった後に行われた取引先の税務調査で、当初は把握されていなかった非違が明らかになった場合です。同じ税目・期間でも、この要件に当たれば再び調査があります。
ここで使われている「再調査」は、処分に不服があるときの「再調査の請求」とは別のものです。FAQも注記でそう断っています。言葉が同じで中身が違うので、相談のときは取り違えないでください。
まとめ
- 見られる範囲は事前通知で決まる。税目・期間・帳簿書類は、電話の時点で示される
- ただし通知の外にも及ぶ。第74条の9第4項がそう定めており、そのこと自体が事前通知の項目に入っている
- 通知の前の期間の帳簿を求められても、対象の拡大とは限らない。当期の数字の根拠が過去にある場合がある
- 検査の対象は「その者の事業に関する」物件。個人名義の預金でも、事業関連性が疑われれば範囲に入る
- 最初の電話で調査通知は済んでいる。その後に自分で気づいて修正申告しても、加算税はゼロにならない
- 帳簿を出さない、売上げの記載が足りない、は加算税の加重に直結する。法定申告期限が令和6年1月1日以後の期が対象
- 預けた帳簿には預り証が交付される。返してもらえない状態は不服申立ての対象になる
- 修正申告を出すと不服申立てはできない。この説明と書面の交付は法律上の義務
条文が決めているのは手続であって、申告内容が正しいかどうかではありません。その部分は、日々の帳簿がどう作られているかで決まります。