生成AIが使えるようになって、社内で使う小さな業務ツールを自分たちで作る会社が増えました。外注すれば見積りが出て、請求書が来て、それを何費で処理するかという話になります。ところが自分で作ると、請求書が来ません。だから全部その期の経費だと考えてしまいがちです。
ここが落とし穴です。自分で作ったものは、現金が出ていかなくても資産になります。
結論
自社で作ったソフトウエアの取得価額は、製作に要した原材料費・労務費・経費に、事業の用に供するために直接要した費用を足した額です。担当者が製作に使った時間の人件費は、ここでいう労務費に当たります。給与として既に払っているお金が、その期の損金から外れて、貸借対照表のソフトウエアに振り替わるということです。
後で出す設例では、新たに出ていった現金が約15万円なのに、取得価額は約55万円になります。差の約40万円は、担当者が120時間その仕事をしたという事実だけでできています。
ここから先は、次の順に見ていきます。
| 決めること | 根拠 |
|---|---|
| 何が取得価額に入るか | 法人税法施行令54条1項2号、法人税基本通達7-3-15の2 |
| 何を外してよいか | 法人税基本通達7-3-15の3 |
| その期に全額を損金にできるか | 法人税法施行令133条・133条の2、租税特別措置法67条の5 |
| 何年で償却するか | 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第三・別表第六 |
「作った時間」が取得価額になる
ソフトウエアは、法人税法施行令13条8号が挙げる無形固定資産の一つです(同号ヌ)。減価償却資産なので、まず取得価額を決めることになります。
自分で作った場合の取得価額は、法人税法施行令54条1項2号がこう定めています。
二 自己の建設、製作又は製造(以下この項及び次項において「建設等」という。)に係る減価償却資産 次に掲げる金額の合計額
イ 当該資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額
ロ 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
ソフトウエアについては、国税庁が通達で改めて念を押しています。
自己の製作に係るソフトウエアの取得価額については、令第54条第1項第2号《減価償却資産の取得価額》の規定に基づき、当該ソフトウエアの製作のために要した原材料費、労務費及び経費の額並びに当該ソフトウエアを事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額となることに留意する。(法人税基本通達7-3-15の2)
「原材料費、労務費及び経費」という並びは、製造業の原価計算の言葉です。ソフトウエアには原材料がほとんどありません。だから自作のソフトウエアの取得価額は、事実上、労務費でできています。
配賦の方法は、先に決めて、変えない
同じ通達は、金額の作り方についてこう続けます。
この場合、その取得価額については適正な原価計算に基づき算定することとなるのであるが、法人が、原価の集計、配賦等につき、合理的であると認められる方法により継続して計算している場合には、これを認めるものとする。
効いているのは「継続して」です。 案件ごとに時間単価の出し方を変えたり、都合のよいときだけ人件費を外したりすると、この条件から外れます。
そしてもう一つ。従事時間は、作っている最中にしか記録できません。 決算のときに思い出して書くものではありません。ツールを作り始める前に、誰の時間をどう数えるかを決めておいてください。
何を取得価額から外せるか
全部を取得価額に入れなければならないわけではありません。法人税基本通達7-3-15の3が、外してよい費用を3つ挙げています。
次に掲げるような費用の額は、ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる。
(1) 自己の製作に係るソフトウエアの製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが明らかなものに係る費用の額
(2) 研究開発費の額(自社利用のソフトウエアに係る研究開発費の額については、その自社利用のソフトウエアの利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合における当該研究開発費の額に限る。)
(3) 製作等のために要した間接費、付随費用等で、その費用の額の合計額が少額(その製作原価のおおむね3%以内の金額)であるもの
3つとも、条件の付き方を読み違えやすいところです。
| 項目 | 外せるもの | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| (1) | 仕損じで不要になった費用 | 「不要となったことが明らかなもの」。使うか決めかねているものは入らない |
| (2) | 研究開発費の額 | 自社利用のものは、「ならないことが明らかな場合」に限る。「なるか分からない」は入らない |
| (3) | 間接費・付随費用等 | 合計額が製作原価のおおむね3%以内であることが条件。3%まで外せるという枠ではない |
とくに(2)です。「うまくいくか分からないから、とりあえず費用で落としておく」という処理を考える方がいますが、括弧書きが限定しているのは逆の場合です。将来の収益獲得にも費用削減にもならないことが明らかなもの、つまり見込みが無いと分かっているものだけが、ここに入ります。分からない段階のものは入りません。
(3)は、「3%まで外してよい」という枠ではありません。通達が外せるとしているのは、間接費・付随費用等でその費用の額の合計額が製作原価のおおむね3%以内であるものです。合計額がおおむね3%の枠を超えていれば、(3)の入口はそもそも開きません。後の設例では、製作原価が約45万円に対して3%相当額は約1万3千円ですが、労務費以外の費用の合計は5万円(製作原価の約11%)で、これを超えています。
設例:120時間で作った請求書ツール
ここから先の数字は、説明のために作った架空の例です。 実在の法人・案件ではありません。
3月決算の中小企業が、請求書の作成と送付をまとめて行うツールを、生成AIを使って自社で作ったとします。前提は次のとおりです。
| 項目 | 金額・数量 |
|---|---|
| 担当者の年間人件費(給与・賞与・法定福利費の合計) | 600万円 |
| 担当者の年間の総就業時間 | 1,800時間 |
| 製作に従事した時間 | 120時間 |
| 生成AIサービスの利用料のうち、この製作に配賦した額 | 30,000円 |
| 動作確認に使ったクラウド環境の利用料 | 20,000円 |
| 過去データの移し替えを外部に頼んだ費用 | 100,000円 |
時間単価は 6,000,000円 ÷ 1,800時間 で、1時間あたり約3,333円です(円未満四捨五入。以下同じ)。
| 区分 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 労務費 | 3,333円 × 120時間 | 399,960円 |
| 経費 | 30,000円 + 20,000円 | 50,000円 |
| 製作原価 | 399,960円 + 50,000円 | 449,960円 |
| 事業の用に供するために直接要した費用 | データ移し替えの外注費 | 100,000円 |
| 取得価額 | 449,960円 + 100,000円 | 549,960円 |
このとき、このツールのために新たに出ていった現金は、30,000円 + 20,000円 + 100,000円 で150,000円だけです。残りの399,960円は、現金が動かないまま取得価額になります。 担当者の給与は毎月払っており、その一部がソフトウエアに振り替わるためです。
先ほどの3%相当額は、449,960円 × 3% で約13,499円です。一方、労務費以外の費用はAI利用料30,000円とクラウド利用料20,000円の合計50,000円で、製作原価の約11%にあたります。合計額が3%相当額を超えているので、この設例では(3)による除外はできません。 仮に3%相当額の中に収まっていたとしても、外せるのは約1万3千円で、取得価額は約54万円のままです。どちらにしても、(3)が金額を動かす役には立ちません。
償却は定額法で5年
ソフトウエアの償却方法は、法人税法施行令48条の2第1項4号で定額法だけと決まっています。定率法は選べません。耐用年数5年の定額法償却率は0.200です(耐用年数省令 別表第八)。
期首に事業の用に供したとすると、各年の償却限度額はこうなります。
| 年 | 償却限度額 | 期末の帳簿価額 |
|---|---|---|
| 1年目 | 109,992円 | 439,968円 |
| 2年目 | 109,992円 | 329,976円 |
| 3年目 | 109,992円 | 219,984円 |
| 4年目 | 109,992円 | 109,992円 |
| 5年目 | 109,992円 | 0円 |
5年目に残高がちょうど0円になります。有形の減価償却資産のように1円の備忘価額を残しません。 法人税法施行令61条1項2号は、平成19年4月1日以後に取得したものについて、イでは有形資産などを「その取得価額から一円を控除した金額」までとする一方、ロで「坑道及び第十三条第八号に掲げる無形固定資産」は「その取得価額に相当する金額」までとしています。無形固定資産は取得価額まで償却しきります。
40万円未満に収まるかどうかで、その年の損金が変わる
取得価額が決まると、次は償却を待たずに損金にできる入口があるかどうかです。3つあります。そのうち、その期に全額が損金になるのは1つ目と3つ目で、2つ目は3年に分かれます。
| 入口 | 取得価額 | 損金にする方法 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 少額の減価償却資産 | 10万円未満 | 事業供用日の属する事業年度に損金経理 | 法人税法施行令133条 |
| 一括償却資産 | 20万円未満 | 3年(36か月)で均等に | 法人税法施行令133条の2 |
| 中小企業者等の特例 | 10万円以上40万円未満 | 事業供用日を含む事業年度に損金経理。年300万円まで | 租税特別措置法67条の5 |
1つ目の入口には、金額とは別の経路もあります。法人税法施行令133条は「使用可能期間が1年未満のもの」も対象にしています。ただしこれは法定耐用年数で見るのではなく、その法人の営む業種で一般的に消耗性のものと認識され、かつその法人の平均的な使用状況・補充状況から見て使用可能期間が1年未満であるものを指します(国税庁 タックスアンサー No.5403)。耐用年数5年が付くソフトウエアでここに入るのは例外的です。
3つ目の特例には、金額とは別に手続の条件が付いています。措置法67条の5第3項です。
第一項の規定は、確定申告書等に同項の規定の適用を受ける少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
「場合に限り」です。取得価額が40万円未満に収まっていても、明細書を付けなければ適用がありません。
手続のほかに、条文が「中小企業者等」の側に付けている条件もあります。青色申告書を提出していることと、適用除外事業者に当たらないことです(措置法67条の5第1項)。適用除外事業者は、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度(基準年度)の所得の金額の合計額を各基準年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額が15億円を超える法人をいいます(設立後3年を経過していないなど一定の事由があるときは、この金額に調整が入ります。措置法42条の4第19項第8号)。白色申告のままでは、金額が40万円未満に収まっていても使えません。
その前に「中小企業者」に当たるか
従業員の数より手前に、もう一つ線があります。「中小企業者」の入口は資本金です。
措置法67条の5が「中小企業者」としているのは、措置法42条の4第19項第7号で「中小企業者に該当する法人として政令で定めるもの」とされているものです。その政令(措置法施行令27条の4第17項)はこうなっています。
資本金の額若しくは出資金の額が一億円以下の法人のうち次に掲げる法人以外の法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が千人以下の法人(当該法人が通算親法人である場合には、第三号に掲げる法人を除く。)とする。
一 その発行済株式又は出資(略)の総数又は総額の二分の一以上が同一の大規模法人(略)の所有に属している法人
二 前号に掲げるもののほか、その発行済株式又は出資の総数又は総額の三分の二以上が大規模法人の所有に属している法人
資本金が1億円を超えていれば、従業員が何人でもこの特例は使えません。 1億円以下であっても、発行済株式等の2分の1以上を同一の大規模法人が持っている場合と、3分の2以上を大規模法人が持っている場合は、中小企業者から外れます。資本や出資を持たない法人だけが、従業員1,000人以下という別の線で判定されます。
ここを飛ばして従業員数から読み始めると、判定を誤ります。 この記事であとに出てくる400人・300人の線は、中小企業者に当たることを確かめた後の話です。
中小企業者等の特例は、令和8年度改正で30万円未満から40万円未満に引き上げられました。改正後の条文はこうなっています。
中小企業者等(略)が、平成十八年四月一日から令和十一年三月三十一日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産で、その取得価額が四十万円未満であるもの(その取得価額が十万円未満であるもの及び第五十三条第一項各号に掲げる規定の適用を受けるものその他政令で定めるものを除く。(略))
期間の区切りがかかっているのは「取得し、又は製作し、若しくは建設し」の側です。 財務省の解説も「中小企業者等が令和8年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする少額減価償却資産について適用し、中小企業者等が同日前に取得又は製作若しくは建設をした少額減価償却資産については、従前どおりとされています」としています。事業年度の途中に令和8年4月1日をまたぐ場合は、期の中で40万円未満と30万円未満に分かれます。この分かれ目は少額減価償却資産の特例の記事で詳しく扱っています。
同じ改正で、使える会社の範囲は狭くなっている
金額の引き上げだけを読むと有利な改正に見えますが、令和8年度改正は同時に、対象になる法人を狭めています。
この特例を使えるのは、中小企業者等のうち「事務負担に配慮する必要があるものとして政令で定めるもの」だけです。その政令が措置法施行令39条の28第1項で、こうなっています。
一 常時使用する従業員の数が四百人以下の法人(特定法人(法人税法第七十五条の四第二項に規定する特定法人をいう。次号において同じ。)を除く。)
二 常時使用する従業員の数が三百人以下の特定法人
改正前は「五百人以下」でした。 財務省の解説は、この改正を「すなわち、特定法人以外の法人について、対象となる法人から常時使用する従業員の数が400人超500人以下である法人が除外されました」と説明しています。
適用の時期は金額の引き上げと同じです。従業員が400人を超えて500人以下の会社は、令和8年4月1日以後に取得・製作したものについて、40万円未満に収まるかどうかを考える前に、この特例そのものを使えなくなります。 改正前の30万円未満の枠に戻るのではなく、特例の対象から外れます。
数え方も決まっています。措置法通達67の5-1の2(常時使用する従業員の範囲)はこうしています。
措置法令第39条の28第1項各号に規定する「常時使用する従業員の数」は、常用であると日々雇い入れるものであるとを問わず、事務所又は事業所に常時就労している職員、工員等(役員を除く。)の総数によって判定することに留意する。この場合において、法人が酒造最盛期、野菜缶詰・瓶詰製造最盛期等に数か月程度の期間その労務に従事する者を使用するときは、当該従事する者の数を「常時使用する従業員の数」に含めるものとする。
役員は入りません。日々雇い入れる人でも、常時就労しているなら入ります。そして後段により、繁忙期だけ数か月働く人も数に含めます。400人の線に近い会社では、ここの数え方で結論が変わります。
以下は、令和8年4月1日以後に製作し、この特例を使える法人であるという前提で見ます。
75時間で線が引かれる
設例の前提のまま、従事時間だけを動かすとこうなります(経費50,000円と事業供用のための直接費100,000円は同じとしています)。
| 従事時間 | 労務費 | 取得価額 | その事業年度に全額を損金にできるか |
|---|---|---|---|
| 20時間 | 66,660円 | 216,660円 | できる(40万円未満) |
| 40時間 | 133,320円 | 283,320円 | できる(40万円未満) |
| 60時間 | 199,980円 | 349,980円 | できる(40万円未満) |
| 75時間 | 249,975円 | 399,975円 | できる(40万円未満) |
| 76時間 | 253,308円 | 403,308円 | できない。5年で償却する |
| 120時間 | 399,960円 | 549,960円 | できない。5年で償却する |
同じツールでも、75時間なら取得価額の全額がその年の損金になり、76時間なら5年に分かれます。 現金の動きは1円も変わっていません。作るのに何時間かかったか、それだけで境目をまたぎます。
ここで一つ、はっきりしないところを書いておきます。措置法通達67の5-2は、40万円未満かどうかの判定単位について「通常1単位として取引されるその単位、例えば機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し」としていますが、例示されているのは有形の資産だけで、ソフトウエアの例示はありません。自作のソフトウエアには「取引」そのものがないので、本文の「通常1単位として取引されるその単位」に戻って、機能のまとまりごとに考えることになります。複数のツールをまとめて1本と見るのか、別々に見るのかは、ここで決まります。
耐用年数5年。「開発研究用の3年」は定義が狭い
耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第三(無形減価償却資産の耐用年数表)で、ソフトウエアについて2つに分かれています。
| 細目 | 耐用年数 |
|---|---|
| 複写して販売するための原本 | 3年 |
| その他のもの | 5年 |
社内で使うツールは「その他のもの」なので5年です。
これとは別に、別表第六(開発研究用減価償却資産の耐用年数表)にもソフトウエアがあり、こちらは3年です。ただし、ここへ行くための入口が狭くなっています。 同省令2条2号は、こう定義しています。
二 開発研究(新たな製品の製造若しくは新たな技術の発明又は現に企業化されている技術の著しい改善を目的として特別に行われる試験研究をいう。)の用に供されている減価償却資産で別表第六(開発研究用減価償却資産の耐用年数表)に掲げるもの
目的として挙がっているのは、新たな製品の製造・新たな技術の発明・現に企業化されている技術の著しい改善の3つです。自社の事務を速くするために作ったツールが、この3つのどれかを目的として「特別に行われる試験研究」の用に供されているかどうかを、そのまま当てはめて確かめてください。「AIを使った新しい試みだから開発研究」とは書かれていません。
作る前に決めておくこと
ここまでの話は、作り終えてから決算で考えると、どれも手遅れになります。
| いつ | 決めること |
|---|---|
| 作り始める前 | 誰の時間を数えるか。どの単位で1本のツールと数えるか |
| 作っている間 | 従事時間の記録。仕損じになったものはその時点で区別しておく |
| 完成したら | 事業の用に供した日。取得価額の集計(原価計算の根拠を紙で残す) |
| 決算で | 少額の3つの入口に当たるか。特例を使うなら明細書を添付する。償却は定額法5年 |
とくに、「どの単位で1本と数えるか」という点は、後から動かせません。請求書ツールと入金消込ツールを同時に作ったとき、2本と数えれば1本あたりの取得価額は下がり、少額の枠に収まるかもしれません。ただしそれは、機能として本当に別々に使えるかどうかで決まる話であって、金額の都合で決める話ではありません。判断の材料は、作っている最中の仕様にしか残りません。
なお、この記事は新しく作る場合の話です。既に持っているツールに手を入れた場合は、分かれ目が2つではなく3つあります。機能上の障害の除去や現状の効用の維持なら修繕費、新たな機能の追加や機能の向上なら資本的支出、そして仕様を大幅に変更して新たなソフトウエアを製作したときは、その新たなソフトウエアの取得価額です(修繕費と資本的支出の切り分けは法人税基本通達7-8-6の2の本文、新たなソフトウエアの取得価額になるのは7-3-15の2(注)2。取得価額にならなかった残りが資本的支出になることは7-8-6の2(注)1)。3つ目に当たるなら、この記事の組み立てがそのまま効いてきます。一方で資本的支出に当たるものは、措置法通達67の5-3が原則として40万円未満の特例の対象にならないとしています(規模の拡張や単独資産としての機能の付加など、実質的に新たな資産を取得したと認められる場合は適用できるとされています)。3つの切り分けは修繕費と資本的支出の記事で扱っています。
まとめ
- 自分で作ったソフトウエアの取得価額は、製作に要した原材料費・労務費・経費に、事業供用のために直接要した費用を足した額です(法人税法施行令54条1項2号、法人税基本通達7-3-15の2)。現金が出ていくかどうかとは関係がありません
- 自作のソフトウエアでは、金額の大半が労務費になります。従事時間の記録が無いと、そもそも取得価額を組み立てられません
- 取得価額から外せるのは3つだけで、それぞれ条件が付いています。とくに研究開発費は、自社利用のものについて、「将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合」に限られます
- 償却を待たずに損金にできるかは、10万円未満・20万円未満・40万円未満という取得価額の線で決まります(20万円未満の一括償却資産だけは、その期に全額ではなく3年に分かれます)。設例の前提では、従事時間が75時間を超えたところで線をまたぎます
- 40万円未満の特例(措置法67条の5)には、金額以外の条件が付いています。資本金の額または出資金の額が1億円以下で大規模法人の子会社等に当たらないこと(=中小企業者)、青色申告書を提出していること、適用除外事業者に当たらないこと、常時使用する従業員の数が400人以下であること(特定法人は300人以下)、そして確定申告書等に明細書を添付することです。令和8年度改正は金額を30万円未満から40万円未満に引き上げる一方で、この人数を500人以下から引き下げました
- 耐用年数は5年、償却方法は定額法のみ。1円の備忘価額を残さず、取得価額まで償却しきります
- 別表第六の3年へ行くには「開発研究」の定義に当てはまる必要があり、その目的は新たな製品の製造・新たな技術の発明・現に企業化されている技術の著しい改善の3つに限られています