新しい学校法人会計基準での最初の決算が終わりました。
学校法人の会計年度は4月1日から翌年3月31日まで(私立学校法98条)。新基準は令和7年4月1日施行で、令和7年度が初年度です。計算書類等の作成期限は会計年度終了後3月以内なので(同法103条2項)、令和8年6月末でした。
書類の名前や様式が変わったことは、移行の前から分かっていました。実際に決算をしてみて数字が動いたのは、そこではありませんでした。
結論
新基準は、引当金について一般的な規定を新しく置きました(学校法人会計基準11条2項)。旧基準には、これに対応する規定がありません。
その結果、賞与を支給した年度の人件費として処理していた法人では、賞与引当金を計上するかどうかという判断が発生しました。 文部科学省のQ&Aで「3.資産・負債」に載っている6問は、すべて引当金に関する質問です。1問目が役員の賞与引当金と退職給与引当金で、残りの5問が賞与引当金についてです。
金額も小さくありません。初年度は前期末に引当金がないので、期末の引当額がまるごと追加の事業活動支出になります。 3月決算で6月に賞与を支給する法人で、支給対象期間が前年12月から5月までなら、賞与1回分のうち4か月分に相当する額です。翌年度以降は、引当額の増減だけが支出になります。
ただし、この増えた支出のうち期首時点で発生していた分については、文部科学省が特別収支に置ける取扱いを示しました。使うかどうかで教育活動収支差額と経常収支差額が変わります(総額は変わりません)。この記事では、その判断に必要なところまで書きます。
引当金に、一般的な規定が置かれました
まず条文です。
負債については、次項の場合を除き、会計帳簿に債務額を付すものとする。
2 退職給与引当金のほか、引当金については、会計年度の末日において、将来の事業活動支出の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該会計年度の負担に属する金額を事業活動支出として繰り入れることにより計上した額を付すものとする。(学校法人会計基準11条2項)
旧基準には、これに対応する条文がありません。 改正省令(令和6年文部科学省令第28号)の新旧対照表を見ると、改正後の11条に並ぶ改正前の11条は「前期末前受金等」の規定で、引当金とは関係のない条文です。
旧基準に引当金の条文がまったく無かったわけではありません。ただし、個別の引当金についてのものだけでした。
第二十八条 金銭債権については、徴収不能のおそれがある場合には、当該徴収不能の見込額を徴収不能引当金に繰り入れるものとする。(旧基準28条)
徴収不能引当金については、このとおり「どういうときに繰り入れるか」が書いてありました(一部の知事所轄学校法人には繰り入れないことができる特例があり、旧基準38条がこれでした)。この条文は、新基準では10条にそのまま移っています。退職給与引当金のほうは条文が無く、旧基準の別表第三(貸借対照表記載科目)に科目として載っているだけでした。
引当金一般について書いてあったのは、脚注の書き方だけです。
第三十四条 引当金の計上基準その他の計算書類の作成に関する重要な会計方針については、当該事項を脚注(注記事項を計算書類の末尾に記載することをいう。以下この条において同じ。)として記載するものとする。(旧基準34条1項)
「計上基準を書きなさい」とは書いてあっても、徴収不能引当金のほかに「何を計上するのか」は書いていなかったわけです。この脚注は、新基準では注記事項の1番目に移りました(新基準40条1項1号)。
文部科学省は、11条2項を置いた趣旨をこう説明しています。
新基準における引当金の規定の趣旨は、学校法人会計基準別表第3の貸借対照表記載科目に示されている退職給与引当金のほか、引当金の計上について、明文の規定を設けたものであること。(令和7年3月27日 6高私参第27号 第一1)
引用中の「別表第3」について
上の引用にある「別表第3の貸借対照表記載科目」は、原文ママです。新基準では、貸借対照表に記載する科目は別表第一で(新基準21条)、退職給与引当金はそこに載っています。新基準の別表第三は資金収支計算書記載科目で(同36条)、そこにあるのは「退職金支出」であって退職給与引当金ではありません。
「別表第三」は旧基準の番号です。旧基準33条が「貸借対照表に記載する科目は、別表第三のとおりとする」と定めていました。改正で別表の順序が入れ替わり、貸借対照表が第一に、資金収支計算書が第三になっています。
黙って読み替えず、条文を引くときは新基準の番号で当たってください。
「賞与引当金だから計上する」ではありません
ここを取り違えると説明できなくなります。基準にも通知にも「賞与引当金を計上すること」という定めはありません。 通知の注記事項記載例(別添2)には賞与引当金が2か所に出てきますが、どちらも計上した場合の書き方の例であって、計上せよという定めではありません。定められているのは要件です。
将来の特定の事業活動支出であって、その発生が当該会計年度以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には、当該会計年度の負担に属する金額を当該会計年度の事業活動支出として引当金に繰り入れ、退職給与引当金等の負債性のある引当金については、当該引当金の残高を、貸借対照表の負債の部に計上すること。(同通知 第一2)
Q&Aは、この4つを番号付きで並べ直しています。
「①将来の特定の事業活動支出であること、②その発生が当該会計年度以前の事象に起因するものであること、③発生の可能性が高いこと、④金額を合理的に見積ることができること」という4つの要件を満たすものについて、引当金として計上することが適切と考えています。
4つは「かつ」でつながっています。ひとつでも欠ければ計上しません。逆に4つを満たせば、科目名が何であれ計上します。
そのうえでQ&Aは、どれを計上するかは法人ごとだとしています。
具体的にどの引当金を計上する必要があるかという点については、学校法人の経営・財務状況により多様であることから、各学校法人の状況に応じて個別に判断いただくようお願いいたします。
「個別に判断」は「計上しなくてよい」ではありません。 判断の対象は「4つの要件を満たすか」であって、「計上するか」ではありません。3月末に支給対象期間が終わっていて、支給額が規程から計算できる賞与について、③と④を満たさないと説明するのは難しいはずです。
自分の法人に当てはめる
よく候補に挙がるものを並べます。表の各欄は、確かめるべきことであって、判定の答えではありません。 4つの列は上の4要件に対応しています。
| 引当金 | ①将来の特定の事業活動支出か | ②当年度以前の事象に起因するか | ③発生の可能性が高いか | ④合理的に見積れるか |
|---|---|---|---|---|
| 賞与引当金 | 翌年度に支給する賞与が対象になるか | 当年度に終わった支給対象期間の分か | 支給規程と過去の支給実績があるか | 支給規程から計算できるか |
| 役員賞与引当金 | 翌年度に支給する役員賞与が対象になるか | 当年度に終わった支給対象期間の分か | 役員賞与規程と過去の支給実績があるか | 役員賞与規程から計算できるか |
| 役員退職給与引当金 | 将来支給する役員退職金が対象になるか | 当年度までの在任期間の分か | 支給の規程または慣行があるか | 算定基準から計算できるか |
| 修繕引当金 | 将来の修繕支出が対象になるか | 当年度までの使用・損耗に起因するか | 実施が決まっているか | 見積りが取れるか |
役員分について、Q&Aは規程の有無を判断の目安として挙げています。
一般に、役員賞与規程が定められており、発生の可能性が高く、金額を合理的に見積りできる場合は計上することが適切と考えられます。
「規程がないから計上しない」で終わらせず、支給の実績があるなら、規程を整えるほうが先です。
負債の部に乗るものと、乗らないものがあります
通知は「退職給与引当金等の負債性のある引当金については、当該引当金の残高を、貸借対照表の負債の部に計上すること」と書いています。「負債性のある」という限定が付いています。
徴収不能引当金は、負債の部には出てきません。
金銭債権については、徴収不能引当金の額を控除した残額を記載するものとする。ただし、必要がある場合には、当該金銭債権の属する科目ごとに、徴収不能引当金の額を控除する形式で記載することができる。(新基準20条)
引当金という名前が付いていても、表示の場所が違います。 賞与引当金は負債の部(流動負債)に、徴収不能引当金は資産の控除として表示します。
期首時点で発生していた分は、特別収支に置けます
初年度に限って効く取扱いです。同じ通知の第一2に、なお書きとして入っています。
なお、各学校法人(中略)が、令和7年度の期首時点で発生している引当金を令和7年度貸借対照表に計上する場合における、令和7年度の事業活動支出として引当金に繰り入れる金額は、事業活動収支計算書の「特別収支」の大科目「その他の特別支出」に、「(何)引当金特別繰入額」などの小科目を設けて処理することができること。(同通知 第一2)
「することができる」です。 全額を人件費に入れても基準違反ではありません。
「その他の特別支出」は特別収支の大科目で、別表第二では小科目として災害損失と過年度修正額が挙がっています。同表の(注)1が「小科目については、適当な科目を追加し、又は細分することができる」としているので、「賞与引当金特別繰入額」のような小科目を作れます。
数字にすると、どこが動くのか
架空の設例で確かめます。金額はすべて実在しない例示です。 前提に置いた金額は丸めた数字で、計算した金額には「約」を付けています。
- 賞与は年2回。6月支給分は12月から5月まで、12月支給分は6月から11月までが支給対象期間
- 令和7年6月支給の賞与 6,000万円(うち令和6年12月から令和7年3月までの4か月分が期首発生分)
- 令和7年12月支給の賞与 6,000万円
- 令和8年6月支給予定の賞与 6,300万円(うち令和7年12月から令和8年3月までの4か月分が期末の引当対象)
期首発生分は 6,000万円 × 4/6 で約4,000万円、期末の賞与引当金は 6,300万円 × 4/6 で約4,200万円です。令和7年度に支給した賞与は約1億2,000万円です。
| 人件費 | その他の特別支出 | 事業活動支出の合計 | |
|---|---|---|---|
| A 通知の取扱いを使う | 約1億2,200万円 | 約4,000万円 | 約1億6,200万円 |
| B 全額を人件費に入れる | 約1億6,200万円 | 0円 | 約1億6,200万円 |
| C 引当金を計上しない(令和6年度までの処理) | 約1億2,000万円 | 0円 | 約1億2,000万円 |
Aの人件費は、支給額 約1億2,000万円 から特別収支に回した 約4,000万円 を除き、期末の引当額 約4,200万円 を加えた額です。AとBで事業活動支出の合計は同じになります。
収支差額で見ると、こうなります。
| 教育活動収支差額・経常収支差額 | 基本金組入前当年度収支差額 | |
|---|---|---|
| A 通知の取扱いを使う | 約200万円 減る | 約4,200万円 減る |
| B 全額を人件費に入れる | 約4,200万円 減る | 約4,200万円 減る |
(いずれもCと比べた増減です。)
AとBで違うのは、教育活動収支差額と経常収支差額までです。 基本金組入前当年度収支差額は、AでもBでも同じ額(Cと比べて約4,200万円の減少)になります。理由は条文にあります。
2 当該会計年度の経常収支差額(第二十三条第一号に掲げる活動の収支差額に同条第二号に掲げる活動の収支差額を加算した額をいう。以下同じ。)は、同号に掲げる活動の収支差額の次に予算の額と対比して記載するものとする。
3 当該会計年度の基本金組入前当年度収支差額(経常収支差額に第二十三条第三号に掲げる活動の収支差額を加算した額をいう。以下同じ。)は、同号に掲げる活動の収支差額の次に予算の額と対比して記載するものとする。(新基準28条2項・3項)
経常収支差額は1号の活動(教育活動)と2号の活動(教育活動以外の経常的な活動)だけを足したもので、特別収支は入りません。 特別収支が入るのは基本金組入前当年度収支差額からです。だから特別収支に置いた分は経常収支差額に響かず、通算すると同じ額になります。
つまり、通知が示した取扱いは総額を減らすものではありません。 経常収支差額に響かせるかどうかの選択です。
経常収支差額は、セグメント情報にも出ます
処理の選択は、注記にも波及します。通知は、セグメントごとに表示する科目を指定しています。
セグメントごとに表示すべき事業活動収支計算書の科目は、「教育活動収入計」、「教育活動支出計」、「教育活動収支差額」、「教育活動外収支差額」、「経常収支差額」、「特別収支差額」、「基本金組入前当年度収支差額」、「基本金組入額合計」及び「当年度収支差額」とすること。(同通知 第二4)
経常収支差額と特別収支差額が、どちらも並びます。 期首発生分をどこに置いたかは、セグメントの行でも見えます。セグメント情報の作り方は学校法人のセグメント情報にまとめています。
会計方針の変更の注記には、増減額まで書きます
引当金を新しく計上したなら、会計方針の変更です。注記事項の2番目がこれです。
二 重要な会計方針を変更したときは、その旨、その理由及びその変更による増減額(新基準40条1項2号)
ここに落とし穴があります。通知の注記事項記載例(別添2)の「2.重要な会計方針の変更等」の「(2)賞与引当金の計上」には、増減額が入っていません。
(2)賞与引当金の計上
学校法人会計基準の改正により、引当金の計上基準が明確化されたことに伴い、当年度から計上している。(同通知 別添2 <例1>2.(2))
これをそのまま写すと、40条1項2号が求める増減額が落ちます。Q&Aは、まさにこの点を質問として受けて、増減額まで入れた記載例を示しました。なお、Q&Aはこれを「特別収支に計上する特別措置を適用した場合の例示」と断っています。 上の設例でいうAの処理をした場合の書き方です。
(2)賞与引当金の計上
学校法人会計基準の改正により、引当金の計上基準が明確化されたことに伴い、当年度から計上している。これにより期首に計上すべき額として特別収支に○○円を計上し、当年度に賞与として支給した額から特別収支の計上額を除いた額及び支給は翌年度であるが当年度の支給対象期間に相応する額として、人件費に△△円を計上している。
この結果、従来の方法と比較して教育活動収支差額、経常収支差額が××円減少(又は増加)し、基本金組入前当年度収支差額が□□円減少(又は増加)している。
上の設例のAを当てはめると、○○が 約4,000万円、△△が 約1億2,200万円、××が 約200万円、□□が 約4,200万円 です。
「従来の方法と比較して」が効いています。 比較の相手は「引当金を計上しなかった場合」であって、特別収支に置くかどうかの比較ではありません。設例のCが比較の相手です。
計上基準のほうも書きます
変更の注記(2号)と並んで、計上基準の注記(1号)も要ります。 新しく計上した引当金は、注記事項の1番目に計上基準を書くことになります。通知の記載例は、徴収不能引当金・賞与引当金・退職給与引当金を並べて示しています。
賞与引当金
…教職員に対する賞与の支給に備えるため、当年度に負担すべき支給見込額を計上している。(同通知 別添2 <例1>1.(1))
2号の注記は変更した年度のものですが、1号の注記は翌年度以降も毎年残ります。
科目と、付随する2つの論点
人件費の小科目に「賞与引当金繰入額」はありません
別表第二で人件費の小科目として挙がっているのは、教員人件費・職員人件費・役員報酬・退職給与引当金繰入額・退職金の5つです。賞与引当金繰入額はありません。
追加できます。Q&Aはこう答えています。
学校法人の判断により処理いただければと思いますが、事業活動収支計算書の「教育活動収支」の大科目「人件費」に小科目「賞与引当金繰入額」を追加していただく等によることが考えられます。
小科目を追加するときの条件も、同じ(注)にあります。
(注)2 小科目に追加する科目は、形態分類による科目でなければならない。ただし、形態分類によることが困難であり、かつ、金額が僅少なものについては、この限りでない。(別表第二 (注)2)
追加できるのは費用の形態による科目です。 賞与引当金繰入額も、特別収支の賞与引当金特別繰入額も、費用の形態による科目なので、ここは問題になりません。学部別や部門別といった分け方の科目を小科目に足すことはできません。
対応する資金は、固定資産ではなく流動資産に
退職給与引当金に退職給与引当特定資産を対応させる感覚で固定資産に置くと、貸借対照表の見え方がずれます。
流動負債の部に計上する賞与引当金に対応した支払資金の資産計上科目については、固定資産に特定資産「賞与引当特定資産」として計上するよりも、流動資産(例:現金預金、有価証券)として計上することの方が、貸借対照表における流動資産と流動負債の対比の観点から有用と考えられます。
法定福利費は、賞与引当金に含めて計上する
社会保険料の事業主負担分をどうするかという論点です。
賞与引当金の計上に伴い発生する法定福利費の会計処理については、他会計制度では未払費用として計上することが一般的ですが、学校法人会計では「未払費用」勘定が用いられないこと、賞与に付随する法定福利費の支出と考えられることに鑑み、「賞与引当金」に含めて計上することが考えられます。
学校法人会計に未払費用勘定がないという前提からの整理です。 企業会計の処理をそのまま持ち込むと科目を作ることになるので、先にこの整理に当たってください。
なお、Q&Aは「賞与引当金と賞与引当特定資産の決算書(予算書)の勘定科目及び法定福利費等の処理の方法について、通知する予定はありません」としています。この先、様式で示されるのを待つ論点ではありません。
決算と何を対比するかは、変わっていません
対比の相手は、書類ごとに違います。ここは旧基準から変わっていません。条番号だけが動いています。
| 書類 | 何と対比するか | 新基準 | 旧基準 |
|---|---|---|---|
| 貸借対照表 | 前会計年度末の額 | 18条 | 32条 |
| 事業活動収支計算書 | 予算の額 | 26条 | 18条 |
| 資金収支計算書 | 予算の額 | 35条 | 9条 |
新旧対照表で条文を突き合わせると、3つとも文言が同じままです(活動の区分を指す条番号の引用だけが変わっています)。
予算書の様式についてQ&Aはこう答えています。
予算の様式は省令等で定めがありません。各学校法人がこれまで使用してきた様式を活用することで差し支えありません。また、必ずしも前年度対比である必要はありません。
予算の様式を新基準に合わせて作り直す義務はありません。 ただ、事業活動収支計算書と資金収支計算書は決算額を予算額と対比して記載するので、科目が計算書類と噛み合っていないと、対比の欄が埋まりません。 様式の義務ではなく、科目を揃える必要の話として考えてください。
令和8年度の決算で増えるもの
令和8年7月22日付けの通知が、注記事項と事業報告書の記載を見直しました。
また、本ガイドブックの策定にあわせて、学校法人会計における有価証券に関する時価情報等の情報提供の充実を図るため、令和8年度決算から、別紙のとおり、計算書類の注記事項及び事業報告書の記載を見直すこととしましたので、十分御了知の上、事務処理上遺漏のないようお取り計らい願います。(令和8年7月22日 8高私参第8号)
見直しは2つあり、強さが違います。
注記事項(有価証券の時価情報)は「細分化すること」。
有価証券の時価情報について、よりきめ細かな情報提供が行われるよう、下記のとおり、明細表における有価証券の種類ごとの内訳の記載を細分化すること。
示された明細表の種類は、債券(国内債券・外国債券・仕組債)、株式(国内株式・外国株式)、投資信託(インデックスファンド(ETFを含む)・REIT(不動産投資信託)・その他)、その他(プライベートエクイティ・プライベートデット・その他)で、これに時価のない有価証券と有価証券合計が付きます。運用商品の分類で帳簿を引けるようにしておく必要があります。
事業報告書は「示すことが望ましい」。
資産運用の中長期的な状況が明らかとなるよう、下記のとおり、有価証券の時価情報等の経年変化や法人の収入全体に占める資産運用収入(受取利息・配当金+資産売却差額)を示すことが望ましいものとすること
こちらは望ましいとされたもので、義務ではありません。
なお、有価証券の時価情報の注記そのものは、すべての法人に求められているものではありません。 これは注記事項の15号(財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項)に位置づけられており、令和7年3月27日付けの通知は、有価証券の時価情報などについて「重要性があると認められる場合に記載すること」としています。
期限のある宿題を一覧にします
初年度が終わった時点で、次の期限が残っています。
| いつ | 何が | 根拠 |
|---|---|---|
| 令和8年度の決算から | 有価証券の時価情報の注記を種類ごとに細分化する | 8高私参第8号 別紙の1 |
| 令和8年度以降の計算書類に向けて | 子法人の注記のうち取引の関連図以外の項目を整理・検討(文部科学省側の作業) | Q&A 5-5(2) |
| 令和9年度の計算書類から | セグメント情報を配分基準で作る | 6高私参第27号 第二5(3) |
| 令和9年度の内訳表から | 「学校法人」部門の業務の範囲を通知の9項目に合わせる | 同 第二2(8) |
セグメント情報については、令和7年度と令和8年度は経過的な扱いが認められています。
令和7年度及び令和8年度の計算書類の作成においては、配分基準又は昭和55年通知に記載の方法を適用し、いずれを適用したかを注記することとし、また、セグメントの設定については、(1)の①から③及び⑤を集約して一つのセグメントとすることができること。(同通知 第二5(4))
令和8年度は、この経過的な扱いを使える最後の年度です。 令和7年度の決算で昭和55年通知の方法を使ったなら、配分基準への切替えを令和9年度に間に合わせる必要があります。詳しくは学校法人のセグメント情報に書きました。
子法人の注記については、Q&Aが文部科学省側で検討中であることを明示しています。
重要性が乏しいと認められる取引の関連図については、記載を一部省略することは可能です。なお、その他の項目については、令和8年度以降の計算書類作成に向けて、整理および検討を進めていく予定です。
文部科学省が整理を進めている論点です。 令和7年度の決算で決めた扱いをそのまま次年度に持ち越す前に、Q&Aの更新を確認してください。Q&Aは項目ごとに更新日が入っており、直近の更新は令和8年3月23日です。
まとめ
令和7年度決算で実際に数字を動かしたのは、引当金です。
- 新基準11条2項が、引当金について一般的な規定を新しく置きました。旧基準には対応する条文がありません
- 計上するかどうかは4つの要件を「かつ」で満たすかで決まります。「賞与引当金だから」ではありません
- 初年度は前期末に引当金がないので、期末の引当額がまるごと追加の支出になります(設例では 約4,200万円)。翌年度以降は増減だけです
- 期首時点で発生していた分は、特別収支の「その他の特別支出」に置けます(任意)。設例では 約4,000万円 がこれに当たりました
- 置くかどうかで教育活動収支差額と経常収支差額が約4,000万円変わります。基本金組入前当年度収支差額は、置いても置かなくても同じ額です(設例ではどちらも 約4,200万円 の減少)
- 会計方針の変更の注記には、増減額まで書きます(新基準40条1項2号)
- 対応する資金は流動資産に置き、法定福利費は賞与引当金に含めるのが文部科学省の整理です
- 令和8年度の決算からは有価証券の時価情報の注記が細分化され、令和9年度からセグメント情報が配分基準に一本化されます
通知が示した初年度の取扱いは、総額を変えるものではありません。 経常収支差額をどう見せるかという選択です。選んだ理由を注記と議事録に残しておけば、次年度以降の説明が楽になります。
なお、令和7年3月27日付けの通知が引用している「別表第3の貸借対照表記載科目」は旧基準の番号です。条文を確かめるときは、新基準の別表第一に当たってください。